2007-12-19

少子化対策 「働かせ方」を見直そう

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 政府の「子どもと家族を応援する日本重点戦略検討会議」が、新たな少子化対策の報告書をまとめた。柱に「働き方の改革」を掲げ労使の自主的な取り組みを求めているが、それだけでは不十分だ。

 同会議は歯止めがかからない少子化への対策をてこ入れしようと、仕事と子育てを両立できる社会基盤づくりの方策を検討してきた。多様な子育てニー ズに応えるため、柔軟な保育サービスの充実と医療保険や児童福祉、母子保健など給付と負担の方法が違う各制度の見直しによる「利用者が求める子育てサービ ス基盤整備」の支援策を柱に据えた。

 こうしたサービスを利用して子育てするには多様な働き方ができることが重要として「働き方の改革」も柱に掲げ、双方を少子化対策の「車の両輪」と位置づけた。

 働き方の改革を実現する手だてとして政府が最重要課題と考えるのがワークライフバランス(仕事と生活の調和)の推進だ。同会議に先立ち、労使の代表も参加した「官民トップ会議」がその基本方針となる「憲章」と行動指針を決定した。

 ワークライフバランスとは、誰もが仕事と、子育て・介護などの家庭生活、地域活動、勉学などを自らが望むバランスで営めることをいう。厚生労働省 の試算では二〇三〇年の労働力人口は現在より約一千万人減る。その底上げには、この推進により、女性が安心して働きながら出産・育児ができ、男性も育児・ 家事に参加できる労働環境が必要だ。

 その推進は確かに重要だが、その前に解決すべき問題がある。働く三人に一人を占める非正規雇用問題が依然、改善されない。雇用が不安定で低賃金の 非正規雇用では、出産・育児どころか結婚が難しい。年金や医療保険など社会保障費の負担は増える一方だ。これでは仕事と生活の調和を実現する以前の問題 だ。正規雇用者も、賃金は上がらないのに長時間労働を強いられている。

 政府は非正規雇用の労働環境改善に労働者派遣法を改正し、緩めてきた雇用の規制を強化すべきだ。正規雇用の長時間労働対策に、月八十時間を超える残業代の割増率を現行25%から50%へ引き上げる労働基準法の改正も速やかに行うべきだ。

 経営側の取り組みも遅れている。非正規雇用の正規化を進めてほしい。正規雇用者の長時間労働の改善も必要だ。政府は働き方の改革実現に労使の自主的努力を期待している。だが、勤労者は自分で働き方を選べない。政府、経営側の「働かせ方」こそ変えるべきだ

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