全国5番目である札幌市の人口は190万人(11月1日現在189万5,069人)目前だが、少子化の影響で児童・生徒数は年々減少している。
第2次ベビーブームのピークだった1973年に2万3,759人だった札幌市の出生数は、06年には1万4,730人まで減っている。
札幌市内の児童・生徒数のピークは、小学生が83年度の13万9,587人、中学生は87年度の7万1,880人だった。2007年度は小学生が9万2,785人、中学生は4万7,093人で、それぞれピーク時のおよそ3分の2となった。
児童・生徒の減少は、小・中学校の学級減に直結し、学校の「小規模化」が加速している。
83年度に59校あった25学級以上の小学校は今年度は4校。同じく87年度に23校あった25学級以上の中学校は07年度はゼロ。
こうした学校の小規模化は、教師が子どもたち一人ひとりに目を配りながら教育ができるという利点がある反面、さまざまな問題も生じる。
児童・生徒が多くの子どもたちと接することは、多様な人間関係が生じる環境の中で、社会性や思いやり、連帯意識などを育む機会になる。
ところが1学年1学級に代表される学校の小規模化は、入学から卒業までクラス替えをすることができない。その結果、人間関係の固定化や集団生活への適応面などで懸念され、いじめが発生した場合も、卒業時まで禍根を残しかねない。
さらに運動会や学芸発表会を少人数で実施した場合、子ども1人の役割負担の増大や固定化も危惧される。学校の小規模化は、必ずしも望ましい教育効果が得られない可能性がある。
札幌市教育委員会は、99年に有識者、保護者、学校関係者などで構成される「札幌市学校適正規模検討懇談会」を設置、小中学校の適正規模と適正配置につ いて諮問した。00年5月、懇談会から適正な学校規模などに関する意見の提言を受け、小規模校が隣接する中央区の創成小学校、豊水小学校、大通小学校、曙 小学校の4校を統廃合し、04年に資生館小学校を開校した。
以後も学校の小規模化が進んでいることから04年12月に改めて「札幌市学校適正配置検討懇談会」を設け、翌年11月に学校適正配置のあり方に関する意 見提言がなされた。市教委は懇談会の提言を踏まえ、今年8月、「札幌市立小中学校の学校規模の適正化に関する基本方針」(素案)を定めた。
基本方針での小学校の適正規模は、18~24学級(1学年3~4学級)。中学校は12~18学級(1学年4~6学級)。小学校は少なくとも複数学級となる12学級以上、中学校も6学級以上が必要としている。
しかし、適正規模の学校は少ない。
今年度の小学校数は207校(国立、私立、特別支援学級を除く)、中学校は98校(同)。小学校では1~5学級が4校(1.9%)、6~11学級が35 校(16.9%)、12~17学級が109校(52.7%)。中学校は1~5学級が3校(3.1%)、6~11学級が23校(23.5%)、12~17学 級が59校(60.2%)となっている。
小学校では適正規模を下回る学校が全体の71.5%、中学校は86.7%に達している。こうした現状から市教委は、学校規模の適正化を検討、年内に基本方針をまとめる計画だ。
後編は今後、適正化の検討を要する地域を報じる。
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