■軸足は中小にシフト
スイス法令に基づく国際的な連合組織体で会計事務所のデロイト・トウシュ・トーマツが公表した市場調査で、インドのIT(情報産業)関連企業が世界的に 見ても急成長を遂げていることが明らかになった。海外からのソフトウエア受託開発などオフショア(外部委託)業務を中心にインドの8%近い経済成長に寄与 するIT業界が、従来の大手中心から中小のITベンチャーに成長の軸足をシフト。先行するライバルの台湾や韓国に迫る勢いとなっている。(坂本一之)
この調査は、アジア太平洋地域でメディア、通信産業、ハイテクで過去3年間の売上高で成長率の上位500社をまとめた「アジア太平洋地域テクノロジー・ ファスト500」。2007年版の500社に選ばれたインド企業は、前年調査の54社から5割増となる82社に達し、国・地域別では99社の台湾に続き2 位と前年の5位から躍進した。04年に比べると、同500社に名を連ねたインドの企業数は倍増している。
≪ソフト受注急拡大≫
インドはランクインした82社のうち過半数の48社がソフトウエア関連企業。日米欧などの大手企業からコスト削減のため人件費の安いインドに発注するオ フショア需要が拡大。インフォシス・テクノロジーズやタタ・コンサルタンシー・サービシズなど大手以外に、中小のITベンチャーが成長し裾野が広がった。
オフショア業務ではソフト技術の先進性と、英語教育が浸透しているインドが有利。官民挙げて産業を育成している。
同500社で国・地域別では、上位常連の韓国が82社でインドと同着の2位。4位は日本の63社のほか、小差でオーストラリアの62社が5位、さらに中 国の53社と続いている。この中で中国は成長率でトップ10社のうち4社を占め、IT産業の急成長を印象づけるものの、ランクイン社数では04年の90社 から下降傾向にあるという。
その理由として、デロイト・トウシュ・トーマツの日本メンバー、監査法人トーマツは、「インターネット分野で中国のランクイン企業数が急減している」と 指摘している。ネット普及が進んだ結果、IT企業の成長も一段落したもようだ。ただ、中国紙の人民日報によると、中国の経営者へのアンケート調査で、投資 を今後増加させるとの回答が65%に達していることから、IT産業においても現段階は踊り場状態との見方も可能だ。
≪中国、再加速期待≫
中国の携帯電話最大手の中国移動(チャイナモバイル)は今月6日、企業向けにケータイを活用した情報サービスの提供を全国展開すると発表するなど、中国の携帯関連ビジネスは拡大中だ。
13億人の人口を抱える中国の携帯利用者数はすでに5億人を突破し、メールやネット利用も普及し始めており、中国のIT関連企業の成長が再加速すること が期待されている。インドが国際的な受注産業を伸ばしている一方、中国は巨大な国内マーケットに目を向けた成長に注目している。
●●コメント●●
0 件のコメント:
コメントを投稿