2007-12-19

原油高で海外旅行1人2万円高、「別料金」出費にご注意

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折からの原油高を背景に、航空会社が徴収する燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)が、旅行客の悩みの種になっている。東南アジアに旅行した場合、 ツアー代金と別に往復で大人、子どもとも1人2万円近くかかり、家族連れや、格安航空券の利用者には痛い出費だ。特に、関西空港が主力とするアジア方面の 路線で割高感が強く、年末年始の旅行先を国内に切り替える動きも出始めた。

 11月下旬、来年の元日を海外のリゾート地で過ごすツアーを探していた大阪府茨木市の会社員八巻(やまき)俊夫さん(38)は、旅行会社の話を聞いてた め息をついた。年末年始はもともとツアー代金が高いうえ、第1希望のタイなら、就学前の娘1人も含め家族3人で計6万円弱の燃油サーチャージがかかる、と 説明された。総額だと50万円を超してしまう。「田舎に帰るだけで我慢します……」

 日本航空と全日本空輸は05年から、燃料費の一部を利用者に転嫁する燃油サーチャージを導入した。両社は原油市況に応じて3カ月ごとに 額を見直しているが、導入時に5千円(往復)だった欧州線が、現在は5.2倍の2万6千円(同)に上がるなど、過去最高水準が続いている。

 サーチャージは、ツアー代金や航空券の購入額と関係なく、行き先の区分によって全員一律に上乗せされる。タイと同区分のハワイも、親2人、子2人で往復すれば計7万9200円もかかる。

 これらの方面は宿泊料金込みで10万円を切るツアーも多く、「一層強く割高に感じられる」(大手旅行会社の営業担当者)。出発直前まで航空会社が決まらない格安ツアーだと、窓口や空港でサーチャージを徴収する際、「納得できない」と客から抗議されるトラブルが絶えない。

 中学、高校が前年に申し込むのが一般的な海外修学旅行では、出発直前に決まったサーチャージが事前の想定より大幅に高くなって積立金でまかなえなくなり、追加支払いを求められた保護者の苦情が学校に殺到する事態も起きている。

 旅行先選びにも影を落とす。関空発の年末年始の予約状況は、近畿日本ツーリストが前年同期比で18%、日本旅行が10%の大幅減だ。ツ アー代金が高めのため、サーチャージに比較的割安感がある欧州方面は堅調で、両社とも「関空でシェアが高いアジアが敬遠されているのが痛い」。一方で、国 内路線は北海道や九州・沖縄が10%を超す伸びを示している。

 海外は微増のJTB西日本も国内は15%増。「近場の海外旅行に代えて国内にシフトしている傾向があるかもしれない」(広報室)とみる。

 日航は来年1月からサーチャージをさらに400~4千円値上げする。ただ、これまで足並みをそろえてきた全日空は値上げを見送った。日航に比べ近距離路線が多く、需要を落ち込ませる恐れがある、と判断したという。

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 《燃油特別付加運賃(燃油サーチャージ)》 航空会社の努力では吸収できない燃料費の一部を正規運賃と別に利用者に負担させる制度。国際 線の正規運賃は国際航空運送協会(IATA)の加盟各社の協議で決まるが、米同時多発テロや中東の政情不安に伴う近年の原油価格の急変動に対応できなく なったため、01年に導入が認められた。日本の2社は、シンガポール市況価格の3カ月平均が1バレル45ドルを下回れば廃止するとしているが、12月現 在、価格は1バレル105ドル前後となっている。


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