2008-08-06

仮仕様書の後に仕様書最終版「仕様変更受け付ない」

:::引用:::
国オフショア開発の最新動向(28)-末富昌幸

  先日、初めて中国オフショア開発の実施に踏み切ったある日本企業の社長から、「こんなことあり得るのか?」と思いながらも「あり得るかもなあ~」と納得してしまった事例を伺いました。

◆通常では考えられないような悲劇

  発注者は、中国人経営者の日本企業です。発注者側の開発責任者も日本在住の中国人です。同社は、初めての中国オフショア開発プロジェクトであるため、安全を見て、中国では知名度が高く、大手のソフトウェア会社をパートナーとして選定したそうです。

  プロジェクトの開始に当たって、発注者の開発責任者がパートナー会社の責任者に、お互いにとって共通の母国語である中国語で説明しました。

  「まだ仕様は確定していませんが、とりあえず仮の仕様書を送ります。仕様が確定するまで予習しておいてください」

  ここまではごく普通のプロジェクトのシーンだと思います。しかしその後に悲劇が起きてしまいました。

   その後、仕様が確定し最新版に改版した仕様書を送付するため、発注者の責任者がパートナー会社の責任者に連絡したところ、パートナー会社の責任者の口か ら信じがたい言葉が発せられました。「仕様変更は受け付けられません。既に開発がほぼ完了したので近々納品します。早急に検収してください」というので す。発注者がパートナー会社にいくら過去の経緯や事情を説明しても、一切受け付けてくれません。話し合いは平行線のままです。

  「こん なこと、あり得るのだろうか?」「仮の仕様書を渡すとき、きちんと説明したのだろうか?」「仮の仕様書を送付後かなりの時間があり、その間コミュニケー ションがなかったのでは?」等々、いろいろと勘ぐってしまいたくなりますが、現実に起こってしまった不幸な事例です。おそらく受注者側の言い分もあろうか と思いますので、客観的な判断はできませんが。

◆この事例から得られる教訓

  このプロジェクトは、受発注者間で共通の母国語である中国語でコミュニケーションを行ったにもかかわらず、悲劇が起きてしまいました。

  この事例には、発注者として、いくつかの教訓があると思います。

(1)知名度や企業規模のみでパートナーを選定してもリスクが潜んでいる。

(2)コミュニケーション言語力とコミュニケーション力とは別次元の能力である。

(3)世界的には特殊な日本独自の商習慣や開発プロセスを理解している、あるいは理解しようとする意識を充分に持っている会社をパートナーに選定することは非常に重要である。

(4)受注者側の経営者やプロジェクトリーダーと事前に面談し、可能な限り見極めを行う。

  他の諸外国と比較すれば、中国は日本での業務経験がある技術者の数が圧倒的に多いのは紛れもない事実です。また、日本向けの仕事を主な事業にしている企業では、このような経験者がコアメンバーとなって会社を運営しています。

   しかし残念ながら、全ての会社が日本企業にとって、上記のように取引しやすい会社ではありません。中国オフショア開発のパートナーをお探しの日本企業さ んに最適なパートナーを選定して頂き、プロジェクトの成功を手中に収めて頂ければ!といつも考えています。(執筆者:末富昌幸)

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