2008-08-22

仕事と生活 非正規社員を忘れるな

:::引用:::

 政府の世論調査で、「仕事と生活の調和(ワークライフバランス)」について約九割の人が内容を知らなかった。その推進が少子化対策の柱と位置付けるのなら、分かりやすいアピールが必要だ。

 先月、政府が公表した特別世論調査では「仕事と生活の調和」について、「名前も内容も知らない」人が60・1%、「名前は聞いたことがあるが、内容まで知らない」人が26・6%いた。「名前も内容も知っている」人は9・8%で、浸透していないようだ。

 政府は昨年十二月、「仕事と生活の調和」推進の数値目標となる行動指針を策定、本腰を入れだした。先月には、同指針を受け、本年度から来年度にかけ集中的に行う「当面取り組むべき事項」もまとめた。

 企業の取り組み促進や就労による経済的自立支援、多様な働き方ができる環境整備など多岐にわたる。あらゆる政策でその推進に取り組むべきだが、総花的な政策のアピールではその重要性が伝わらない。

 「仕事と生活の調和」とは仕事と子育て・地域活動・勉学などのバランスが取れた生活を指し、少子化対策としても期待されている。ただ、その推進は正規社員の長時間労働や企業経営者の意識の問題と理解されがちだ。

 だが少子化を止めるには、非正規雇用が多い若い世代の生活の安定が欠かせない。非正規社員は雇用の不安定と低賃金で将来に大きな不安を感じてい る。出産・子育てどころか結婚も難しい。こうした若者は「仕事と生活の調和」と言われても、「正規社員の問題」としか思わないのではないか。

 働く人の三人に一人は、非正規社員だ。労働経済白書によると、その割合は微増している。「正社員で働く機会がないから非正規」の割合も二〇〇一年 の38%から〇六年に44・2%に増えた。非正規の正規化支援を確実に進めてほしい。正規社員が増えれば、正規社員の長時間労働も改善される。少子化対策 の視点からも非正規社員の雇用対策は重要だ。

 行動指針では、仕事と生活が調和した社会になる前提として、就労による若者の経済的自立が可能な社会の実現を第一目標として初めて掲げた。フリー ターの数を現状の百八十七万人から一七年には四十二万人以上減らす目標も定めた。ならば「政府は非正規で働く若者を支援している」との明確なメッセージを 出すべきだ。


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