2008-08-25

【主張】外国人看護師 現実踏まえた見直し図れ

:::引用:::

 経済連携協定(EPA)に基づき、インドネシアから看護師と介護福祉士の候補者約200人が来日した。当初の2年間で看護師400人、介護福祉士600人を受け入れる。医療や介護分野で、外国人労働者を本格的に受け入れるのは初めてだ。

 EPAによる看護師と介護福祉士の受け入れは、フィリピンとの間でも調印している。ベトナムなどとも交渉が進められており、今回来日した人たちの働きぶりは今後へのモデルともなろう。

 早く職場に溶け込んでもらい、その能力が十二分に発揮されることを期待したい。

 来日者は母国で資格を取得した優秀な人材だが、当面は助手として働く。来日後3~4年以内に日本の国家試験に合格しないと、帰国しなければならない。言葉の壁もあり、数年の滞在で突破するのは容易ではなかろう。

 大半が助手として低賃金で数年働いただけで帰国したのでは国際信用を損なう。政府には、教材開発など試験に向けた支援も求めたい。また、同じ内容の仕事につく日本人と同等賃金になっているか、目を光らせる必要がある。

  一方、今後の日本の看護や介護はいったい誰が支えるのか、今回の受け入れを人材確保策を考える契機ともしたい。日本社会は本格的な少子高齢化を迎え、患者 や要介護者はますます増える。ところが看護や介護の現場は人手不足がすでに深刻化している。いずれ外国人の手助けなしに乗り切れなくなるのは避けがたい状 況だ。

 助手の身分であれ、日本の医療現場などで働きたいと考える外国人はいる。日本の医療機関などにも、そうした職種での受け入れを求め る声が少なくない。だが、外国人受け入れは基本的に高い技術などを持つ専門職に限られている。実際のニーズを踏まえ、柔軟に対応できるよう専門職定義の見 直しを検討してはどうだろう。

 その一方で看護や介護の現場で働く日本人の離職に歯止めをかけることも急務だ。政府は介護報酬改定など対策を講じるというが、待遇改善を実感できる具体策を早急に提示すべきである。

 外国人頼みだけでは、日本の看護や介護の質は将来的に低下を免れない。どこまで受け入れるかの国民的合意を作るとともに、日本の若者たち自身が誇りとやりがいを持てるような職場環境を整える努力も必要である。


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