2008-08-29

「中国・大連で働きながら語学スキルアップ」の現実―日本人を海外で安く雇用するビジネスモデル

:::引用:::
最近では少なくなりましたが、現在でも『中国・大連で働きながら語学スキルアップしよう!』と言う触れ込みで、日本国内で日本人を募集し、中国・大連で働かせるコールセンターやアウトソーシング企業が数社あります。

中国・大連でスキルアップ?
 中国に住んで生きた中国語を学ぶ。これは確かに中国語を取得するのに一番の近道だと思います。しかし、前述した企業のほとんどが1日8時間の労働を基本 としています。また、日本向けのコールセンターやアウトソーシング企業では、業務中に中国語を必要としません。さらには、同じ職場で働く中国人のほとんど が日本語を喋るので、まるで日本に居るような錯覚さえ覚えます。

 この環境は中国語をこれから学ぼうとする日本人には非常にありがたいですが、これでは日本で働くのと何も変わりは有りません。多くの企業が売りにしてい る就業時間外の無料中国語教室についても、別な側面から見れば、安い賃金で働く事によって実際には本人達が負担しているとも言えます。

 日本で働くのとほぼ同じ環境で就業し、就業時間後に中国語を勉強するのであれば、同じ職種で賃金の数倍高い日本で働き、そのお金で生活しながら語学学校に通っても、スキルアップの効果は同じでは無いでしょうか?

中国で働いた人のその後
 実は私自身も米系の日本向けコールセンターで約1年半働いた経験が有ります。その時の元同僚のほとんどは日本に帰国しましたが、中国で得たキャリアを生 かして年収アップを果たしたり、正社員になったりしたという報告は、一度も受けた事は有りません。むしろ、マイナスになったと言う愚痴ばかり聞きます。

 中には大連滞在中に一生懸命勉強してHSK(最もポピュラーな中国語検定)の高級を取った人もいますが、その方でも、日本では契約社員の身分でしか働け ていないのが現状です。現在、私は日本企業の駐在員として中国・大連で働いていますが、中国に来る前に身に付けたスキルで雇われたもので、中国語に関して の資格は何も持っていません。

 日本で日本人を募集し、中国などの物価が安い発展途上国に送り込んで、現地の物価水準の賃金を支払う事でコストを削減して儲ける。このようなビジネスモ デルに対し国が何の法的規制もしなければ、人的資源の国外流出と共に、このビジネスモデルに乗って海外に渡った日本人が、日本という国に対して強い不信感 を募らせるようになるのではないでしょうか?
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