2008-08-04

前期高齢者人口は2016年の1,744万人がピークに

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内閣府は、2008年版高齢社会白書を公表した。今回、高齢化の状況や、高齢者の姿と取り巻く環境の現状と動向についてまとめた。

 高齢者人口のうち、前期高齢者人口は「団塊の世代」が高齢期に入った後に2016年の1,744万人でピークを迎える。その後は、2032年まで減少傾 向となるが、その後は再び増加に転じ、2041年の1,699万人に至った後、減少に転じると推計されている。いっぽう、後期高齢者人口は増加を続け、 2017年には前期高齢者人口を上回り、その後も増加傾向が続くものと見込まれており、増加する高齢者数の中で後期高齢者の占める割合は、一層大きなもの になると見られている。

 年少人口(0~14歳)は2039年に1,000万人を割り、2055年には752万人と、現在の半分以下になると推計されている。出生数の減少は、生 産年齢人口(15~64歳)にまで影響を及ぼし、2012年に8,000万人を割り、2055年には4,595万人となると推計されている。

 65歳以上の高齢人口と15~64歳の生産年齢人口の比率をみてみると、1960年には1人の高齢人口に対して11.2人の生産年齢人口がいたのに対し て、2005年には1人の高齢者1人に対して現役世代3.3人になっている。今後、高齢化率は上昇を続け、現役世代の割合は低下し、2055年には、1人 の高齢人口に対して1.3人の生産年齢人口という比率になる。仮に15~69歳を支え手とし、70歳以上を高齢人口として計算してみても、70歳以上の高 齢人口1人に対して生産年齢人口1.7人という比率となる。

 平均寿命は、2006年現在、男性79.00年、女性85.81年だが、今後、男女とも引き続き伸びて、2055年には、男性83.67年、女性90.34年となり、女性の平均寿命は90年を超えると見込まれている。

 先進諸国の高齢化率を比較してみると、国内は1980年代までは下位、90年代にはほぼ中位であったが、21世紀初頭には最も高い水準となり、世界のどの国もこれまで経験したことのない高齢社会になると見込まれている。

 「団塊の世代」といわれる1947~1949年に生まれた者は、出生数で約806万人、2006年10月現在の人口で約677万人、総人口に占める割合 は約5.3%という人口構造上、大規模な集団。国立社会保障・人口問題研究所の「日本の将来推計人口」(2006年12月推計)によれば、「団塊の世代」 が65歳に到達する2012~2014年には、65歳以上の高齢者が年に約100万人ずつ増加すると見込まれている。

 「団塊の世代」が60歳以降就業を希望する雇用・就業形態をみると、60歳以降に正社員や契約社員・嘱託で働くことを希望する人の割合は、年齢が高くな るにつれて順次低下し、短時間勤務やボランティア活動を希望する人の割合が増えてくることから、加齢により希望する雇用・就業形態は多様化するようにな る。

 高等学校、大学への進学率は、「団塊の世代」が学齢に達した頃に目立って上昇しており、50%程度であった高等学校の進学率は「団塊の世代」が高校に進 学した1962年には約64%に達した。その後も、高等学校、大学の進学率は上昇し続けたが、「団塊の世代」は高学歴化の象徴であった。

 「団塊の世代」のうち三大都市圏に居住する人は、「団塊の世代」が生まれた頃(1950年)は約30%であったが、進学時・就職時に都市へ移住したことで、2005年には約半数が三大都市圏に居住しており、都市化の動きが確認できる。

 「団塊の世代」が生まれた年には、就業者に占める雇用者の割合は30%程度だったが、現在、「団塊の世代」の約70%は雇用者となっており、「団塊の世 代」はサラリーマン化を定着させてきた。さらに、そうした中で、「サラリーマンの夫、専業主婦の妻と子供」という核家族の形態も増加することとなった。

 65歳以上の高齢者のいる世帯についてみると、2006年現在、世帯数は1,829万世帯で、全世帯(4,753万世帯)の38.5%を占めている。世 帯の内訳は、「単独世帯」が410万世帯(22.4%)、「夫婦のみの世帯」が540万世帯(29.5%)、「親と未婚の子のみの世帯」が294万世帯 (16.1%)、「三世代世帯」が375万世帯(20.5%)となっている。

 高齢者の心の支えとなっている人についてみると、2005年度においても、子どもを挙げる人が過半数を超えており、依然として高齢者にとって子どもが心の支えとなっている。

 子どもや孫との付き合い人について、60歳以上の高齢者の意識をみると、子どもや孫とは、「いつも一緒に生活できるのがよい」の割合が低下するなど、以前に比べると、より密度の薄い付き合い人でもよいと考える高齢者が増えている。

 高齢者世帯(65歳以上の人のみで構成するか、またはこれに18歳未満の未婚の人が加わった世帯)の年間所得(2005年の平均所得)は301.9万円 となっており、全世帯平均(563.8万円)の半分強だが、世帯人員一人当たりでみると、高齢者世帯の平均世帯人員が少ないことから、189.0万円とな り、全世帯平均(205.9万円)との間に大きな差はみられなくなる。

 高齢者の所得格差の状況を、分布の集中度あるいは不平等度を示す係数で、0に近づくほど平等で、1に近づくほど不平等となるジニ係数でみると、2005 年の調査において一般世帯では当初所得のジニ係数が0.4252であるのに対して、高齢者世帯では0.8223となっており、高齢者間の所得格差が大きい ことがわかる。再分配所得のジニ係数でみると、一般世帯が0.3618であるのに対して高齢者世帯は0.4129となっており、社会保障給付などの所得再 分配の影響で格差は小さくなるものの、一般世帯と比べて格差が大きくなっている。

 世帯主の年齢が65歳以上の世帯(二人以上の世帯)の貯蓄の状況についてみると、2006年において、一世帯平均の貯蓄現在高は、2,429万円となっ ており、全世帯(1,772万円)の約1.4倍となっている。貯蓄現在高階級別の世帯分布をみると、世帯主の年齢が65歳以上の世帯では、4,000万円 以上の貯蓄を有する世帯が19.0%と全体の20%弱を占め、全世帯(11.3%)の1.7倍近い水準となっている。しかし、いっぽうで、貯蓄の少ない人 の割合は全世帯に比べて低いものの、貯蓄額300万円未満の世帯の割合は約10%となっている。

 国内は平均寿命だけでなく、健康寿命(自立して健康に生活できる年齢)も世界で最も長いが、健康についての高齢者の意識をアメリカ、ドイツ、フランスと 韓国の4カ国と比較してみても、「健康である」と考えている人の割合は、日本が64.4%で最も高い結果となっている。なお、日本に次いで高いのはアメリ カ(61.0%)で、以下、フランス(53.5%)、韓国(43.2%)、ドイツ(32.9%)の順となっている。

 医療サービスを日頃どのくらい利用するかについてアメリカ、ドイツ、フランスと韓国の4か国と比較すると、日本は「健康である」と考える人は他の国より も多いものの、医療サービスの利用状況は「ほぼ毎日」から「月に1回くらい」までの割合の合計が56.8%と韓国(56.7%)とともに他の国と比較して 高くなっており、医療サービスの利用頻度が高くなっている。

 介護保険制度における要介護者または要支援者と認定された者(要介護者等)のうち、65歳以上の人の数についてみると、2006年度末で425.1万人となっており、2001年度末から137.4万人増加している。

 前期高齢者(65~74歳)と後期高齢者(75歳以上)について、それぞれ要支援、要介護の認定を受けた人のそれぞれの区分における人口に対する割合を みると、前期高齢者は要支援の認定を受けた人が1.2%、要介護の認定を受けた人が3.3%であるのに対して、後期高齢者で要支援の認定を受けた者は 6.6%、要介護の認定を受けた者は21.4%となっており、後期高齢者になると要介護の認定を受ける人の割合が大きく上昇する。

 家族の中ではだれに介護を望むかについてみると、男女とも「配偶者」の割合が最も高いが、女性は「娘」の割合も高くなっている。前回調査結果と比較すると、「配偶者」の割合が増加し、「嫁」の割合は減少している。

 要介護者等と同居している主な介護者の年齢についてみると、要介護者等が65歳以上の高齢者の場合、その主な介護者の半数以上が60歳以上となっており、いわゆる「老老介護」のケースも相当数存在していることがわかる。

 2006年の「国民健康・栄養調査」によると、メタボリックシンドロームが強く疑われる者と予備群と考えられる人の合計は、総数で男性45.3%、女性 18.6%となっている。年齢階級が高くなるほど増加する傾向がみられるが、特に40歳以降増加する傾向がみられ、40~74歳では男性の50.5%(2 人に1人)、女性の19.8%(5人に1人)が、メタボリックシンドロームが強く疑われる者または予備群と考えられる人となっている。

 高齢者の就業状況についてみると、男性の場合、就業者の割合は、55~59歳で90.1%、60~64歳で68.8%、65~69歳で49.5%となっ ており、60歳を過ぎても、多くの高齢者が就業している。また、不就業者であっても、60~64歳の不就業者(31.2%)のうち50%以上の人が、 65~69歳の不就業者(50.5%)のうち40%以上の人が、それぞれ就業を希望している。

 女性の就業者の割合は、55~59歳で62.2%、60~64歳で42.3%、65~69歳で28.5%となっている。また、不就業者であっても、 55~59歳の不就業者(37.8%)と60~64歳の不就業者(57.7%)のうち30%以上の人が、65~69歳の不就業者(71.5%)のうち 20%以上の人が、それぞれ就業を希望している。

 性・年齢別の労働力率が2006年の実績と同じ水準で推移すると仮定して2007年12月に雇用政策研究会が行った推計によれば、2017年の労働力人 口は6,217万人となることが見込まれ、2006年に比べて440万人減少することとなり、労働力人口総数に占める65歳以上の人の比率も10.6%と なることが見込まれている。

 60歳以上の高齢者の近所の人たちとの交流についてみると、「親しく付き合っている」は52.0%、「あいさつをする程度」は40.9%となっている。 過去の調査結果と比較すると、「親しくつきあっている」が減少する傾向がみられるいっぽうで、「あいさつをする程度」、「付き合いはほとんどしていない」 が増加しており、近所同士の結びつきが弱まっている。

 地域の福祉や環境を改善することを目的としたNPO(市民活動団体)活動に関心があるかについてみると、「すでに活動に参加している」が3.6%、「今 後参加したいと思っている」が9.2%、関心があるがよく分からない」が34.4%となっており、これらを合わせた「関心がある」が47.3%となってい る。いっぽう、「関心はない」が42.6%となっている。

 NPO活動に参加しなかった理由についてみると、「きっかけや機会がない」が最も多く、「NPO活動に関する情報がない」との回答も上位を占めている。

 高齢運転者による交通事故件数についてみると、運転免許保有者の増加や高齢者が運転する機会が増加していることを背景として年々増え続けている。65歳 以上の高齢運転者(原付以上)による交通事故件数は、2006年は99,853件と、2005年に比べ1.3%の増加となった(全年齢の計では5.1%の 減少)。10年前の1996年と比較すると、65歳以上の高齢者では約2.2倍、75歳以上の後期高齢者では約3.3倍と、高い伸びを示している。

 65歳以上の高齢者の火災による死者数(放火自殺者を除く)についてみると、2006年は826人で、全死者数の56.0%を占めている。

 全国の消費生活センターに寄せられた契約当事者が70歳以上の相談件数は、2000年度は43,336件であったのが年々増加し、2006年度は134,735件で、相談全体の12%を占めている。
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