2008-08-12

外国人労働 成果につなげる工夫で

:::引用:::
インドネシアから、看護師と介護福祉士の候補者が来日した。日本語などの研修を受けた後、長野県をはじめ全国各地の病院、老人ホームなどで働く。

 仕事をしながら、一定期間内に資格を取るのは容易ではない。条件が厳しすぎるといった批判も出ている。

 できるだけ多くの人が定着できるように、受け入れ条件の見直しも課題となる。施設の側にも、さまざまな工夫が求められる。

 日本とインドネシアは、貿易拡大などを目的に経済連携協定(EPA)を結んでいる。協定に基づき、看護師・介護福祉士を目指して、約200人が来日した。

 介護・医療分野での外国人労働者の本格的な受け入れは初めてだ。賛否両論があるものの、受け入れに踏み切った以上、定着に向けた態勢づくりが大事になる。

 気になるのは、日本側の条件の厳しさだ。

 来日した人たちはインドネシアで看護師の資格を持っている。だが、日本で看護師や介護福祉士の資格を得るには高いハードルを越えなければならない。

 半年間、日本語などの研修をした後、医療機関や介護施設で働きながら勉強する。看護師は3年以内に、介護福祉士は4年以内に国家資格を取らなければ、帰国することになる。

 不合格により、帰国せざるを得ない人たちが増えれば、労働力の穴埋めに使われたとの批判が強まる心配がある。2国間の協定に基づくだけに、外交問題に発展しないように配慮が必要だ。

 今回の候補者が予定枠を大きく割り込んだのは、条件の厳しさも原因の一つとされている。外国人労働者の定着を目指すのであれば、国家資格の取得条件の緩和などを検討すべきだろう。

 受け入れ先の医療機関や介護施設の態勢も、重要なポイントだ。言葉や習慣の違いに柔軟に対応していく必要がある。試行錯誤を重ねながら、試験に合格できるような環境を整えたい。

 高齢化が急速に進むなかで、医療・介護分野の人手不足が指摘されている。「将来を見据えて、受け入れに踏み切った」とする施設側の声も聞かれる。医療・介護の労働力をどう確保していくか、中・長期的な視点から論議を深めなければならない。

 今回来日した候補者がどのような道筋をたどるかが、今後の受け入れのあり方を左右する。官民が協力し合って、両国の関係者が納得できる成果につなげたい。

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