2008-08-11

中国経済はオリンピック頼みではない

:::引用:::

7年間の“オリンピック景気”は、オリンピック後の北京に困惑をもたらすのだろうか? 過去の歴史を見ると、1960年代以降にオリンピックを開催した国の経済は、招致から開催までの7年間、高度成長を維持することができた。中国も例外ではない。

しかし、オリンピックの後には、しばしば景気の後退が起こる。2000年のシドニーオリンピック終了後、シドニーの所在地であるオーストラリアの ニューサウスウェールズ州では、GDPの伸び率の小幅な低下、投資の大幅な減少、不動産業の衰退などの現象が見られた。また、シドニーの住宅価格も、 1993年から1999年までの“7年景気”の恩恵を受けた後、大幅に下落した。

北京オリンピック経済研究会の陳剣・執行会長は「オリンピック後に開催都市あるいは開催国の経済が低迷するという法則はない。たとえ低迷したとして もその期間は短く、オリンピック後の2年目あるいは3年目には、経済は正常な状態に向かう」と、7月20、21日の両日の本紙の独占取材の中で語った。長 年にわたって北京オリンピックの中国経済に及ぼす影響について研究してきた陳氏は「以前、われわれはオリンピックが中国の経済成長率を毎年2ポイント押し 上げると考えていたが、実際のデータによると1ポイントに届かない」

陳氏は、7年間にわたってオリンピックのもたらす経済面の変化の研究に取り組んでいる。北京市の委託を受けて、北京オリンピック経済の研究など複数 の課題研究で指揮を執っており、2003年から2007年まで毎年、北京オリンピック経済に関する研究レポートの編集主幹を務めてきた。

「実際のところ、北京の経済成長のオリンピックへの依存度はすでに非常に低くなっており、中国経済全体となるとオリンピックへの依存など問題外だ」と陳氏は語り、北京はいわゆる“7年景気”後の低迷を脱却できるとの自信を示している。

── オリンピック後、開催都市の経済が必然的に低迷するのではないか、と皆が関心を寄せています。どうでしょうか。

:オリンピック後、開催都市あるいは開催国の経済が低迷するという法則はないと考えるべきだ。われわれは、 1964年に日本で開催された東京オリンピック以降、11回のオリンピックの開催都市あるいは開催国について、オリンピック前後の経済成長に関するデータ を比較分析した。そして、オリンピック後、経済が必ず低迷するという結論にはならなかった。

まず、開催都市自身の特徴を見ると、都市の置かれている成長段階はそれぞれ異なり、都市のインフラと既存の競技場の条件は同じではない。このため、オリンピック競技のニーズを満たすソフト面・ハード面の環境も異なる。

一部の開催都市では、既存の条件でオリンピックの特別なニーズに適応しており、大規模な土木工事も不要だった。このため、オリンピック準備期間中に 大量の資金の投入などもなく、ポストオリンピック経済の低迷という問題も存在しない。また、一部のオリンピック開催都市では、会場を新しく建設して、関連 する都市インフラを整備しなければならないが、たとえそうだとしても、オリンピック後に新しい投資スポットがあれば、経済も低迷することはないだろう。

次に、オリンピック後の経済が低迷するか否かは、開催都市の組織運営モデルとも関連している。海外のほとんどの開催都市は商業資本に負う部分が多いが、わが国は国が主体となってオリンピックを行う。また、開催都市自身の発展目標によるところもある。

一般的には、オリンピック終了後、オリンピックに関連するさまざまな都市インフラが次々と完成している。開催都市あるいは開催国の経済規模が小さ く、さらに新しい投資スポットがない場合は、オリンピック後、経済が低迷する可能性が高い。しかし、たとえそうなっても、一般的には低迷期間は短く、オリ ンピック後の2年目、3年目には、経済は正常な状態に向かう。

:以前、われわれはオリンピックが中国の経済成長率を毎年2ポイント押し上げると考えていたが、実際のデータによると1ポイントに届かない。

北京市が2001年に確定した「オリンピック投資予算」は約2800億元だ。この予算のうち、約1440億元のインフラ投資は、すでに北京市の「第 10次五ヵ年」計画に組み込まれており、オリンピックがなくとも計画通り投資することになっていた。残りの約1000億元余りが純粋にオリンピックによる もので、この部分の投資は7年間の全オリンピック準備期間にまたがるため、平均すると毎年の投資額が200億元余り増えただけだった。

北京の経済規模はすでに9000億元を超え、オリンピックの関連会場と都市インフラはすでに完成している。2008年の北京市全体の固定資産投資額 は前年比11%増の総額4300億元に達する。こうした状況の下では、毎年200億元余りの投資の影響はかなり限定的だと考えるべきだ。例えば、都市イン フラについて、過去7年で北京の鉄道敷設距離は毎年20km以上伸びており、2008年には200kmに達する予定だ。そして、オリンピック後は、北京の 鉄道への投資はさらに強化され、2015年は500km超に達する見込みだ。

このため、北京の経済が、まだいくらかオリンピックに依存しているとしても、実際のところ、その依存度はすでに非常に低くなっている。中国経済全体となるとオリンピックへの依存など問題外だ。

観光業は今後10年間成長が続く

── あなたの観察・研究によると、オリンピックは中国経済に、これまでにどんな変化をもたらしたのでしょう。

:まず、オリンピックは中国経済の持続的な成長を促した。2003年から2007年まで、わが国の経済は5年 連続で二ケタ成長を遂げ、2007年には伸び率がピークに達した。今回の経済成長はオリンピックの準備と緊密な関係がある。特に、オリンピック競技に関係 する北京、青島の経済成長率は、5年連続でそれぞれ12%と15%前後に達している。

次に、オリンピック経済の影響はさまざまな分野に広がっている。これまでのオリンピックと異なり、北京オリンピック関連都市は7カ所にのぼる。収入 も予想を上回りそうだ。特に、市場開発、フランチャイズ経営企画、入場チケット――の3種類の収入は総額11億米ドルを超える見通しだ。例えば、北京オリ ンピック組織委員会のフランチャイズ経営による公式グッズの売上額はすでに14億米ドルを超えたという。その売上額の10%が北京オリンピック組織委員会 に還元されるとすると1億4000万米ドルになる。マスコットの売り上げも記録を更新する見込みだ。

さらに、開催都市のインフラの改善は誰もが認めるところだ。オリンピックによって北京全体の建設のスピードは5年早まり、北京、天津、河北エリアの 融合と発展を直接促した。また、オリンピックによって北京に新しい機能エリア、すなわちオリンピック公園を中心とした「亜奥新区」が形成され、オリンピッ ク後は主として観光、スポーツレクリエーション、コンベンション経済、文化クリエイティビティなどの産業発展が期待される。

── 国内外の要因を総合的に分析すると、オリンピック後の中国経済は、およそどんな動きになると考えていますか。

:ポストオリンピックの時期は、オリンピック要因の中国経済への影響はかなり限定的だ。もし経済が低迷するとすれば、主として国際経済の環境と自身の経済周期の影響を受けた結果だろう。

開催都市自身の要因について見れば、2007年、北京の経済規模は1兆元近くに達するが、全国の各省・市・自治区でのランキングは10位にとどま る。北京の経済成長の国内経済全体への影響力はかなり限定的だ。これが他国の開催都市とは異なる点だ。東京の経済規模は日本全体の十分の一を占め、アテネ に至ってはギリシャの二分の一に達する。

中国経済は、全体的には依然として工業化の中期の状態にあるため、工業化と都市化の急速な発展に直面しており、毎年都市に流入する人口だけで1500万人を超える。これこそが中国経済の成長を促すのに有利な要因である。

── では、オリンピックは関連産業にどんな影響をもたらしますか。

:私の予想では、オリンピックに関連する要因の刺激を受けて、スポーツ、コンベンション、文化レクリエーション、金融業などが高成長を維持し、うち観光業の高成長は10年続くだろう。

一方、建設業は今後一定期間、調整段階に入るだろう。会場の建設、都市インフラの整備、都市の改造などで、建設業はオリンピック前に高度成長を遂げた。オリンピック後は、建設業の成長は一定の影響を受けることになるだろう。


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