老いるアジア
世界に類例のない速さで進む日本の少子高齢化――。確かに“前例”はないが、そう遠くない将来、同じような状況を迎える国は少なくないようだ。
昨年(2007年)来、法政大学大学院教授の小峰隆夫氏らによる「老いるアジア」(日本経済新聞出版社)や、大泉啓一郎著「老いてゆくアジア」(中公新書)などの書籍が店頭に並び、アジアの高齢化に関する話題は、徐々に関心を高めている。
既にシンガポールや韓国などの出生率は日本よりも低く、中国では一人っ子政策の影響も予想されて、アジアが高齢化するという指摘に違和感はない。 ただ、問題はその時期だろう。小峰氏らによれば、総人口に占める生産年齢人口(15~64歳)の割合が低下するのは、シンガポールやタイでは2010年ご ろから、中国、韓国は15年ごろからとなる。あくまで予測ではあるが、「思ったよりも早い」というのが多くの人の率直な感想ではないか。
人口が経済に与える影響は、言うまでもなく大きい。人口総数はGDP(国内総生産)の規模に直結し、社会保障制度などの支え手となる生産年齢人口と、14歳以下の年少人口、65歳以上の高齢人口の割合は、経済活力に大きな影響を及ぼす。
一般に、所得水準が上がると、出生率よりも先に乳幼児死亡率が低下する。人口だけが経済に影響を与えるわけではないが、わが国でも、生産年齢人口 が増えていた時期は、高度成長期と重なる。日本はその後、(1)少子化の進展(2)65歳以上の人が14%を超える高齢社会に移行(3)労働力人口の減少 (4)総人口の減少――という順序で人口構成の変化を経てきた。今後は後続のアジアの国々でもほぼ同じ順序で事態は推移するという。
現在は「世界の成長センター」として注目を集めるアジアだが、小峰氏らは、「変化にうまく対応しないとアジアの時代は終わる」と警告する。
こうした人口構成の変化に伴って起きうる課題は、現段階でもいくつか予想される。まずは、少子化の問題が社会に認識されるのに時間がかかり、対策 が遅れがちになるという点。しかし実際には、少子化対策は効果が出るまでに時間がかかるため、迅速な対応が求められる。次に、投票者の高齢化が進み、若者 の声が政治に反映されにくくなる。また、持続可能な社会保障の制度設計や労働力人口の減少に対応するための女性や高齢者、外国人労働者の労働環境の整備な ども求められる。
反面教師の可能性も
こうしたアジアの将来予測を考えた時、日本の少子高齢化対策は違った側面を見せることになる。それは、これまでの経済成長と同様、善きにつけ、あ しきにつけ、将来40億人とも予想されるアジアの人々の先行事例になるという点だ。この点を踏まえ、日本は変化に適切に対応し、新たな成長モデルを示す必 要がある。少なくとも40億人の反面教師にだけはなってはならないだろう。
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