京都市下京区の日本語学校が、日本への留学を希望するアジア各国の人たちから学費を受け取りながら、実際には希望者が入国できないなど、トラブルになっていることが6日、京都新聞社の調べで分かった。ラオス、中国、バングラデシュ、ネパールの41人が先月時点で、計1200万円余りの被害を訴え、返金を求めている。ラオスでは現地の警察が詐欺事件として捜査している。
この学校は「ELIC京都校日本語科」(エリック)=三浦光道校長(42)。大津市長等1丁目の宗教法人「定光坊」が設置する。
関係者によると、同校は2006年1月、ラオス駐在の同校の日本人教員(35)を通じて短期留学生(3カ月コース)を1人あたり3400ドル (39万円)で募集した。少なくとも5人の希望者が同5月に授業料など計1万7000ドル(197万円)を払ったが、来日に必要なビザ(査証)が日本大使 館から交付されず入学できなかった。
5人は返金を求め、うち2人に、計5000ドル(58万円)が戻っただけで、直後に首都ビエンチャン市にあった同校の拠点は閉鎖された。このため、5人が地元警察に「金をだまし取られた」と届け出たという。
駐日領事館や留学仲介機関の話を総合すると、ラオスのほか、中国、バングラデシュ、ネパールの36人が06年3月ごろからエリックに送金した計1134万円の返金を求めている。
一般に海外の学生が日本語学校への入学を希望する場合、ビザ申請の手続きと並行して学費を学校に前納する。ビザが交付されない時は、学費を返すことが日本語学校の認定機関である財団法人「日本語教育振興協会」(東京都)のガイドラインで定められている。
エリックは協会の認定校で、1992年に円満日本語学舎(大津市)として開校し、その後に移転、校名変更した。アジア各地の提携校や留学仲介機関を通じて学生を受け入れている。定員は140人だが、現在は4人しか在籍していない。
■14人分と認識 「エリック」校長
三浦校長は授業料などが返金できていないことを認め、14人分の616万円との認識を示したうえで「留学希望者から預かるなどした600万円を四 国で日本語学校をしている知人に預けて戻ってこないため、返済が遅れている。早急に返したい。ラオスにはすでに送金を指示した」と説明している。
【日本語学校】 外国人を対象に日本語を教える民間教育施設。日本の高等教育機関(大学など)に在籍する外国人留学生の50-60%が日本語 学校を経ているとされ、大学進学へのステップの一つとなっている。設置基準は専修学校に準じるが、株式会社や個人でも開校できる。文部科学省、法務省、外 務省が共同所管する財団法人「日本語教育振興協会」(東京都)が審査・認定する。全国に約380校ある。
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