2008-01-31

100円ショップ苦悩 中国の工賃高騰深刻 生産地シフトも品質課題

:::引用:::
 
100円ショップが、原材料費と生産拠点の人件費アップというコスト面のダブルパンチに苦しんでいる。特に、商品の多くを生産している中国の人件費高騰 は深刻。全国約700店舗で「100円ショップ ミーツ」を展開するワッツは、中国メーカーに委託してきた自主企画商品の生産の一部を、昨年後半から労働 力が安いインドや東南アジアに移した。

 ワッツが中国から生産委託先を見直したのは、輪ゴムなどのゴム製品(インド)、スプーンなど竹製品や木工製品(ベトナム)など。これらの商品は近く、店頭に並ぶ予定という。

 このほかに、タイでも商品の生産委託を始める計画。具体的な委託先は明らかにしていないが、人件費の高いバンコク周辺は避け、北部など首都圏から遠く離れた地域になる方向だ。

 原価の安さが絶対条件である100円ショップにとって、工賃の高騰は致命的だ。

  中国の中小企業の一般工(ワーカー)の賃金水準を客観的に示すデータはないが、法定最低賃金は経済成長に伴って年々上昇。内陸で工業化が進んだ広西省南昌 市では昨年末、3年前の1・5倍強にあたる月580元(約8600円)まで上がり、ベトナムの首都・ハノイの一般工の月収(87~198ドル、日本貿易振 興機構調べ)と同水準に達した。

 ミーツの場合、8000~9000点の商品のうち、中国製が約6割と半分以上を占めており、国産は3割 程度。だが、中国もコスト面のメリットが小さくなったとして、「生産地の中国偏重を避け、他地域にリスクを分散する」(経営企画室)と方針を大きく転換し た。人件費に加え、中国政府が進める外資優遇策の見直し、為替動向なども、コストに大きく影響するからだ。

 業界では、最大手の「ザ・ダ イソー」(大創産業)がすでに生産先を四十数カ国に広げているほか、「100円ショップ生活良品館」などを展開するセリアも、生産態勢の見直しを進めてい る。「中国の沿岸部から内陸部へのシフトに加え、昨年始めにはベトナムでも竹製品や割りばしの生産を始めた」(セリア経営企画室)

 ただ、各社とも「移転先には中国のように金型などの技術が進んでいないので、現状では作りやすい商品しかシフトできない」というのが、大きな悩みだ。

 「生産移転も結局は弥縫(びほう)策。プラスチック製品などの原材料費が上がっても、『100円ショップ』の看板は降ろせない。商品の更新時に材料を減らすなど、地道な努力を続けるしかないだろう」(業界関係者)との指摘もあり、コストとの厳しい戦いが続きそうだ。

  中国経済に詳しい富士通総研の朱炎主席研究員は、中国の人件費動向について、「法定賃金が内陸部でも上がっており、東南アジアより高い地域が増えている」 と話す。朱氏によると、広東省に5000~6000カ所あった靴工場のうち、ここ数年で1000カ所が閉鎖され、このうち半分は内陸部、約25%はベトナ ムなど東南アジアに生産拠点を移したという。朱氏は「低付加価値商品については、『世界の工場』の役割は薄れていくだろう」と指摘している。

●●コメント●●

0 件のコメント: