ベトナムの路上の風景が昨年12月15日から一変した。最も代表的な庶民の足であるバイクの運転者にヘルメット着用 が義務付けられたためだ。ベトナム運輸省によると、1カ月が経過した今月中旬の着用率は全国平均で約99%。義務化の前日まで、ほとんどが“ノーヘル” だっただけに、同省幹部は「予測もしていなかった高い着用率」と驚きを隠さない。
ベトナム国内のバイク台数は約2100万台(2007 年)で自動車の約100万台を大きく上回る。東南アジア随一の経済成長率を遂げる中、バイク台数は毎年200万台のペースで伸び続け、特にハノイや南部 ホーチミンなど大都市では朝夕の渋滞が深刻化。交通事故の死者数は昨年、約1万2000人にも達し、1990年の時点から5倍以上に増えた。
ベトナムでは長らくヘルメットは嫌われてきた。「近所に買い物に行くだけなのに面倒」「脱いだ後の置き場に困る」「夏は40度近い暑さの中でかぶっていら れない」などがその理由。政府は95年以降、行政命令などでヘルメット着用を呼び掛けてきたが、国民の根強い反発もあり定着してこなかった。
政府は交通事故死削減を目指し、昨年9月から都市間を結ぶ主要道でヘルメット着用を義務化。同12月15日からは全国すべての道路で義務化し、未着用者には10万~20万ドン(700~1400円)の罰金を科す厳罰方針を打ち出した。
●●コメント●●
0 件のコメント:
コメントを投稿