2008-01-24

2つの爆弾…中国揺るがす「不倫」と「ネット」

:::引用:::
 中国美 人キャスターが国営テレビの会見に乱入、夫の不倫を暴露し、ネットに映像が流れるという“自爆テロ”の余波が収まらない。夫は看板アナ、妻は「段ボール肉 まん」を報じたキャスターだったこともあるが、続いて外資系企業のエリートOLが夫の不倫をネットで暴露し自殺する事件まで起きた。「不倫」と「ネット」 という当局が取り締まり切れない2つの“巨大爆弾”に、五輪を控えた中国世論が大きく揺れている。

■100万件超す最多閲覧数

 昨年12月28日に“事件”は起きた。中国中央テレビで「五輪チャンネル」を立ち上げる記念の記者会見で、看板アナとして司会を務めた張斌(チャンビン)氏(38)の前に突然、妻で北京テレビキャスター、胡紫薇(フーズーウェイ)さん(36)が現れた。

  200人を超す報道陣に五輪関係者が居並ぶなか、胡さんは張氏のマイクを奪うと「今日私はキャスターとしてではなく、張氏の妻としてきた」と前置きし、 「2時間前に張氏が別の女性と不適切な関係にあると分かった」と夫の不倫を暴露。立ちつくす夫をよそに胡さんは「来年は五輪の年だが、こんな偽りの人がい る限り、中国の大国入りは遙か夢だ」と熱弁を振るい、スタッフに取り押さえられた。

 局側は会見の放映を禁じたが、映像は「土豆網」(ポテトネット)など国内動画投稿サイトに掲載され、100万件を超す最多閲覧数を記録。動画はすぐ削除されたが、台湾メディアが取り上げ、ユーチューブアップされるなど、世界中に配信された。

 胡さんは目玉番組のキャスターだったが、やらせが発覚した「段ボール肉まん」報道で降板させられたうえ、張氏との結婚自体も不倫の末の略奪愛だっただけにネットは炎上。「中国人の面汚し」と非難が相次ぐ一方、「勇気ある行動」とファンクラブが立ち上がるほどの騒動となった。

■エリートOLは暴露後に自殺

 中国に詳しいジャーナリスト、富坂聰氏は「北京では離婚の届け出が結婚を上回ったとされ、不倫・離婚は中国で最も熱い話題だ」と指摘する。

 胡さん騒動後には、北京の大手外資系企業のOLが夫と不倫相手の女性の実名と写真をネットに暴露した直後に首つり自殺する事件も起きた。

 「一種の暴露ブームが起きており、命を賭した自爆テロに心当たりがある世の男性は戦々恐々としている」(富坂氏)

 有力誌「中国新聞週刊」が不倫・離婚特集を組むほどだが、同誌の調査では男性の37%、女性の30%が「現在、浮気中」と回答。男性の46%が「みんなやっているから構わない」と答えた。

■「裏のマスコミ」と言われ巨大な存在に

 2つの不倫暴露はネットで騒動が拡大した点も共通する。当局の統計ではネット人口が1億2000万人を超え、11万店ものネットカフェが林立。報道統制が強い中国にあってネットは「裏のマスコミ」とも言える巨大な存在になっている。

  富坂氏によると、最近は「網婚(ワンフン)」と呼ばれるバーチャル世界の疑似結婚で、専門のブライダル会社が立ち上がるほど盛んで、現実の夫婦間の離婚を 引き起こすなど、社会問題化しているという。特に興味深いのが、ネット婚の世界でも不倫や離婚が横行しており、中には100人もの妻をめとった学生もい た。

 「ネットは犯罪の温床にもなり、当局はサイバーパトロールを強化しているが、よほどの騒ぎや実害がないと取り締まれず、規制は後手後手に回っている」。富坂氏は増殖を続ける中国ネット事情をこう説明している。

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