外国人に日本の企業で知識や技術を身につけてもらう外国人研修・技能実習制度について、法務省は、受け入れ機関などに対して示している運用の指針を初め て改定する。制度は、安上がりな労働力の確保に利用されるなど、本来の狙いからかけ離れた運用が横行しているのが実情。このため、ブローカーを介在した受 け入れを明確に禁止するなど改善を図る。
研修・実習生は現在16万人。商工会や中小企業団体などが受け入れ機関となり、紹介を受けた企業などが最長3年の研修・実習を行う。だ が、法務省が06年に「不正行為があった」と認定した機関は229機関と過去最多に。失踪(しっそう)する研修・実習生も増加し、同年は2201人に上っ た。
同省が改定するのは、「研修生及び技能実習生の入国・在留管理に関する指針」(99年策定)。これまでは抽象的に表現されていた「留意事項」や「不正行為」を具体的に列挙することにした。
受け入れ機関に対しては、研修先の企業を「労働力不足の解消」といった広告で募集することを禁止。商工会などの機関が名目だけの受け入れ 機関になってブローカーに「丸投げ」し、ブローカーが不当に利益を得るのを防ぐ目的から「公的性格を有する機関が名目のみの受け入れ機関になり、実質は他 の機関が研修を行うこと」を禁止項目として明記した。
また、海外の派遣機関が、研修・実習生から法外な保証金を取っているケースがあることを踏まえ、「徴収が判明した場合、その派遣機関からの受け入れを取りやめる」ことも盛り込んだ。
研修・実習生を保護するため、受け入れ機関に「失踪防止」を理由に宿舎からの外出を禁止する▽希望の有無にかかわらず旅券や通帳を預かる ▽所定時間以外の作業を強要する――ことなどを不正行為として明記。違反すれば3年間、新規の研修・実習生の受け入れを認めないこととした。
同省は年内にも公表し、年明けから各機関に説明を始める予定だ。
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