2008-01-29

07年訪日外国人 4年連続増加 初の800万人超 中韓が牽引

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 2007年に日本を訪れた外国人旅行者数が4年連続で増加し、過去最高を更新、初めて800万人台を突破したことが28 日、国際観光振興機構の調べで分かった。宿泊費などを含めた訪日外国人の旅行消費額は1兆円超に達する。株安や円高で景気の減速感が強まる中、訪日外国人 の拡大は内需拡大の景気対策としても期待が膨らみそうだ。

 同機構によると、07年の訪日外国人旅行者数は「為替相場が円安基調だったことによる買い物需要、日本食や日本文化に対する関心が高まった」(間宮忠敏理事長)こともあり、前年比13・8%増の約834万9000人。

 国別では、韓国が22・8%増の約260万人と大幅に伸び、全体の約3割を占めた。中国は16・2%増加し、シンガポールも31%増だった。欧米ではフランスが16・9%増と大きな伸びを示した。

 政府は10年に訪日外国人旅行者1000万人を目指すビジット・ジャパン・キャンペーンの目標達成に向け、「観光庁」の設置や、アジアに重点を置いた積極的なイベント開催などを展開中。「初の800万人台突破は弾みになる」(国土交通省観光経済課)と喜ぶ。

 国交省によると、宿泊費などを含めた06年度の訪日外国人の旅行消費額は前年度比20・2%増の1兆3600億円と大幅に増加し、07年度も増加を見込む。

 一方、海外に出国した日本人の数は前年比1・3%減の約1729万8000人で、新型肝炎(SARS)の影響で落ち込んだ03年以来、4年ぶりに前年を割り込んだ。団塊世代の旅行需要が旺盛な半面、娯楽の多様化で若者の海外旅行が伸び悩んだ。

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 ■百貨店、家電→囲い込み躍起

 個人消費の低迷や少子化による需要先細りに悩む百貨店、家電量販店などの流通サービス各社は、拡大が見込まれる訪日外国人の財布を新たな市場と位置づけ、顧客囲い込みに躍起だ。

 三越は、中国で13億枚以上発行されている銀聯(ぎんれん)カードで支払いができる端末を銀座店や日本橋店などに導入。銀座店では人気の化粧品売り場に 中国語が話せるスタッフを常駐させる。同社によると、昨年1~11月の銀座店の免税取扱件数は前年比50%増と拡大。特に中国人は同75%増の高い伸びを 示しており、「ビザの緩和や為替の割安感から、富裕層を中心に右肩上がりに増えている」と、訪日外国人客の重要性を指摘する。

 「国産牛をブロックで購入した客や、ゴルフ用品を100万円以上購入した韓国人客もいた」など外国人客の消費意欲は旺盛で、「銀聯カード所有者では一度に200万円以上購入するケースもあった」(日本百貨店協会)という。

 百貨店協会は、国交省などが今年展開する旧正月の観光キャンペーンに参加。業界をあげて訪日外国人の取り込みを狙っており、高島屋や松屋など10社27店舗が割り引き(5~10%)やプレゼントなどを行う予定だ。

 一方、家電量販店でも、ヨドバシカメラやビックカメラなどが主要店舗に銀聯カード対応端末を導入。外国人客が多い秋葉原にあるヨドバシカメラの「マルチ メディアAkiba」では、中国語を話すスタッフが常駐するほか、海外向けのデジタルカメラやゲーム機などを集め、値札も英語表記にした外国人客向けコー ナーも設置した。

 旅行業界でも、JTBが外国人向けサイト拡充や訪日ツアーの強化を進めているほか、近畿日本ツーリストも「国際旅行事業本部カンパニー」を立ち上げ、欧米を中心に海外の旅行会社に訪日ツアーの売り込みを図る。

 各業界で訪日外国人の取り込みが進む中で、新市場でどれだけ優位に立てるかが各社の業績に大きな影響を与えそうだ。

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【用語解説】ビジット・ジャパン・キャンペーン

 国土交通省や旅行業界などが海外に日本の観光地や文化を売り込み、訪日旅行者の増加を目指す官民一体の活動。2002年の約524万人から、2010年 に1000万人に倍増させることを目標にしている。米国、中国、韓国を中心に、テレビや雑誌などで日本の観光地をPRしたり、旅行業者を招いてツアー商品 を提案したりしている。

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