2008-01-22

ブリッジSEなしでオフショア開発はできない?

:::引用:::
 中国でのオフショア開発を検討されている日本企業の責任者や担当者の方々から、「まずはブリッジSEの採用が先決だ」「ウチにはブリッジSEがいないから、オフショア開発は無理ではないか」というご意見をよく耳にします。こうした認識が間違っていると断じることはできませんが、その前提には誤解もあるのではないかと思います。

◆ブリッジSEとは?

  ブリッジSEの定義はいろいろありますが、ひと言でいえば、「オフショア開発を行うに当たって、言葉や文化が異なる両国間、両社間に立ってプロジェクトをスムーズに進める役割を担うSE」のことです。

  ブリッジSEを単なる通訳者や指示伝達者だと勘違いしてしまうと、リスクが高くなります。日本語と中国語の両方に堪能であるという理由だけで実務経験の浅い技術者をブリッジSEとして配置したがゆえに、プロジェクトが泥沼化してしまったという失敗事例が少なくないからです。

  中国オフショア開発におけるブリッジSEに必要な要素を挙げれば、次のようになるでしょう。

  (1)プロジェクト管理スキル
  (2)日本語と中国語の会話力
  (3)日中双方のビジネス感覚や価値観の相違を理解した上で相互理解に導ける交渉力、コミュニケーション能力
  (4)中国オフショア開発に関する実務経験

  このようなスキルや経験を持っていない限り、真の意味でのブリッジSEの役割を担うことはできません。さてどうでしょうか?発注者側企業として、これらを備えた人材を採用したり育成したりすることは、簡単なことでしょうか?残念ながら答えはNOですね。

◆成功事例をもつ日本企業は?

  運よく上記のようなスキルを持ったブリッジSEを採用できれば、彼をを中心とした理想的な開発体制を組むことができます。発注者として中期的に考えると、ブリッジSEとなる人材を育成、採用することは非常に意義があり、オフショア開発の適用範囲を広げ、さらに推進する上では理想的なことだと思います。

  しかし現実的には、上記のような人材を確保することは簡単ではありません。ではこのようなブリッジSEがいない場合は、中国オフショア開発の実施を諦めるしかないのでしょうか?

  日本には、これまで数多くの成功事例を積み重ね、今では常時数千人体制で中国オフショア開発を実行している日本企業が何社かあります。実はこれらの企業では、必ずしもブリッジSEを抱えているわけではありません。また常時数千人体制とまではいかなくとも、毎回プロジェクトを成功させている日本企業でも、同じくブリッジSEを抱えていないケースが多いのです。なぜなら、こうした成功事例の多くは、受注者側のプロジェクトマネージャーやリーダークラスの人材がブリッジSEの役割を果たしているからです。

  したがって、ブリッジSEを確保できない場合でも、優秀なプロジェクトマネージャーやリーダークラスの人材と組織的な管理力を備えるパートナーを慎重に選定して双方で密なコミュニケーション、相互理解を図れば、中国オフショア開発を成功させることは充分に可能なのです。
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