日本の大学が‘少子化’の波に不安を感じている。少子化とは、出産率が低下し、各家庭の子供の数が減る現象をいう。数年以内に入試生全員が大学に入る‘全入’時代が開かれる、と予想されている。
最近、日本の大学が都心にUターンしているのもこのためだ。交通が便利で生活条件が整ったところに大学を移してこそ学生の関心を得られる、と判断している。
昨年11月に海外メディアの報道を通して伝えられた‘スーパー大学院’の推進も、少子化の大きな流れの中にある。基本アイディアは、お互い競争してきた大学が力を合わせて競争力のある人材を育てよう、というものだ。
一つの大学の中でも和合が難しいところに、他の大学と額を突き合わせてシナジー効果を得るというのは、本当に可能なのか。こうしたア イディアを出して推進するにいたった過程はどういうものか。スーパー大学院の設立を主導してきた‘コラボ産学官’の梶谷誠理事長に尋ねた。
梶谷理事長は「(スーパー大学院は)できるかできないかという問題でなく、必ずやらなければならない当為性の問題」と強調する。
「通常なら難しいことだが、今は違う。人口の減少で大学の存続自体が難しくなっている。スーパー大学院の設立のような果敢な決断なしには、生き残るのが難しい時代になっている」。
コラボ産学官は全国60余の大学と研究機関で構成された交流組織。‘産’は企業、官’は政府、‘学’は大学を意味する。2004年4 月、国立大の独立法人化をきっかけに設立された。‘大学は自立すべき’という法人化の方向を受け、産学協力を通した研究活性化の必要性が高まったのだ。
2010年の設立を目標とするスーパー大学院に参加する10大学のうち9大学が、信州大・電通大・秋田大・北見工業大など地方国公立大であるのもこのためだ。現在は中央大だけが私立大。
各大学が比較優位にある分野を共有し費用を分担することで日本のMITをつくろう、という戦略だ。現在まで地域の大学と単位共同認定制度などの協力事例はあったが、全国単位で大学が提携するのは初めて。
梶谷理事長は「今までは教授が好きなことを研究するという傾向があったが、もはやこれは容認されない状況」とし「大学の研究も今では産業現場の需要に合わせて変化していかなければならない」と指摘した。
「スーパー大学院は、各大学が優位分野を集中育成できる絶好の機会。たとえば寒冷地域にある北見工大の場合、雪道での事故を予防する 装置開発研究が活発だ。こうした分野を集めれば十分に競争力を持てると考える。専門家の調査報告書をもとに基準を設け、各大学の参加分野を決めていきた い」。
●●コメント●●
0 件のコメント:
コメントを投稿