慢性的な人手不足に悩む介護業界を支援しようと、在日フィリピン人にホームヘルパーの資格を取得してもらい、県内の介護施設に就職させる民間の取り組み が、三条市などで始まっている。これまで県内の介護現場に外国人はほとんどいなかったが、3月中旬までに2人がヘルパーとして第一歩を踏み出した。参加す る在日フィリピン人らは「フィリピンと言えば介護というイメージになるぐらい、頑張りたい」と意気込んでいる。
事業を主催するのは、同市の人材派遣会社「ピーエムシー」(谷晴夫社長)。2007年11月、フィリピン人向けの講座開設の認可を受け、日本人と結婚するなどして同市や長岡市に住むフィリピン人男女計8人でスタートした。
08年2月までに実習を終え、全員がホームヘルパー2級の資格を取得。同社からの派遣社員として、これまでに2人が介護の仕事に就いた。
人材派遣業として他社との差別化を目的に始めた事業だが、谷社長は「人手不足、給料の安さなど介護業界の現状を知った。将来、東南アジアなどから介護や看護の人材を受け入れることになれば、在日フィリピン人の存在が助けになるはずだ」と目標を語る。
三条市の坂井シドニィさん(38)は今月から、同市の富永草野病院(草野恒輔理事長)で介護病棟の介護員として働いている。方言が多いお年寄りとの会話に 苦労することもあるが、「昔からしたかった仕事ができ、夢のようだ。早く一人前になれるよう頑張りたい」と明るく話す。
同病院の浅野令子看護師長は「介護業務に対する考え方がしっかりしている。これからも日本の人と同じように接していきたい」とほほ笑む。
すでに第2期生の9人が長岡市で講座を受けており、6月以降は第3期生も計画中。在日フィリピン人同士の口コミもあり、取り組みは徐々に広がっている。1 期生で、生徒集めに尽力した三条市の笹川ロウェーナさん(37)は「フィリピン人は水商売など夜の仕事が多いが、昼の仕事に就きたいという人は多い。講座 はとてもいいきっかけになる」と強調する。
一方、課題は病院や福祉関係施設など、就業先の少なさ。外国人という理由で尻込みする事業所が多い上、派遣ではなく正社員を望む事業所が多いからだ。
谷社長は「より専門性の高い資格の取得を見据え、介護に携わるフィリピン人のネットワークを作り、就業後にも精神的なケアをしたい。そのためには事業所単 位での雇用よりも派遣でつながりを保った方がいい。新しい人材を育てるという目的を理解し、支援してほしい」と訴えている。
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