2008-03-22

外国人社員が専門性にこだわるワケ

:::引用:::
  「外国人社員はキャリアを重視するスペシャリスト志向」

  外国人社員、特に中国人社員を採用・活用している企業からはこのようなコメントをよく聞きます。就職活動や入社後の配属でも「大学で学んだ専門性にこだわる」という点は彼らの気質的な背景がある一方で、日本で働く外国人にとっては「大学で学んだ専門性=職種」とならざるおえない絶対的な事情があるのです。

  それは―日本で働くための資格=在留資格―と深く関係します。

◆専門性、すなわち職種

  日本人の場合、新入社員で就職するにせよキャリア採用として転職するにせよ、自分が学生時代に学んだ内容などが法律や経済など文系であろうともIT企業にはいってエンジニアになる人もいますし、その逆に理工系であっても金融、マーケティングやコンサルティングなどに就職・転職する人もいます。つまり、学校教育における専門性と就職後の職種はかならずしもイコールではなく、それぞれが文字通り「職業選択の自由」で自己決定(もちろん、採用する企業があってのことですが)をしています。

  一方で外国人留学生や海外人材が日本国内で就職する場合、大前提として在留資格(就業ビザ)を取得する必要があります。在留資格には職務内容に応じて「人文・国際」「技術」「研究」などの資格がありますが、これを取得するためには大学で学んだ「専攻」と就職する際の「業種」「職種」が一致する必要があります。専攻と業種・職種が一致していないと在留資格が降りず(留学生の場合は、留学ビザから就労ビザへの変更が許可されず)、企業への就職が内定していても結果として、就職できないという事態も生じるのです。

  つまり外国人社員が日本で就職(もしくは転職するにせよ)をするためには、大学時代の専攻をベースにキャリアを積み重ねていく必要があるのです。

◆採用企業の対応は?

  採用する側の対応としても外国人留学生や海外人材が応募してくる段階、つまり採用活動の中で相当早い時期にビザがどのステータスになるのかを確認しておく必要があります。当然これら一連の手続きには注意が必要で、これを煩雑に感じ、外国人社員の採用に躊躇する企業があることも事実です。事実、留学生の就職を例にあげると、平成18年には8272名が日本企業で就職をしていますが、企業の従業員数をみると、1-49人が42.1%、50-99人が9.7%と、従業員規模100人以下の企業における採用が50%以上を占めています。ちなみに資本金をみても5000万円以下の企業が52.9%を占めます(法務省入国管理局 平成18年度留学生の等の日本企業等への就職について)。

  ただでさえ忙しい中堅企業が、ここまできっちりケアをするのは相当な努力が必要となり、現場では大きな課題となっています。

  外国人社員の採用や活用をするにあたり、上記でご紹介したような外国人社員と日本企業双方にとって存在する「専攻=職種の壁」を事前に十分把握しておくことが大切です。これあは双方にとってコミュニケー
ション上の手間暇を減らすことにもつながるのです。(執筆者:小平達也・株式会社ジェイエーエス代表取締役社長)
●●コメント●●

0 件のコメント: