2008-03-31

インドオフショアが、いままた熱い

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(編集部から):開発費圧縮や慢性的に足りないエンジニア確保のため、 オフショア開発を取り入れる企業が増えてきている。現在、日本企業のオフショア開発委託先は中国がメインだが、欧米企業では早くからインドなどで展開して きた。中国以外のオフショア開発事情はどのようになっているのだろうか。

 本連載では中国以外の国々、インドやベトナム、フィリピンなどにおけるオフショア開発事情を紹介していく。連載第1回となる今回は、インドのオフショア開発事情を紹介する。

インドに対する状況が2年前とは一変してきている

 言葉の壁などが原因となり、敬遠されがちだったインドへのオフショア開発委託ですが、2007年あたりから少しずつ流れが変わってきたようです。


 インドの大手IT企業である「インフォシス」の日本法人トップは、「2006年までとは状況が一変した」と喜びの表情を浮かべています。もう一方の大手IT企業であるタタコンサルタンシーサービシズ(TCS: 以下、タタ)も負けてはいません。2007年、同社は大手金融2社と直接契約を交わしました。「2年前には全く予想できなかったことだ」と、同社日本法人 のトップが自ら明かすほどの大躍進です。いったい、なぜここにきて日本市場でインドIT企業の存在価値が高まったのでしょうか。

 初めに、2008年度におけるインド大手IT企業各社の日本強化計画の概要を見ておきましょう。インフォシスは400人増の1000人体制を目指しています。ウィプロは160人増の610人体制、そしてタタも100人増の430人と大幅な増員を計画しています。日本での売り上げも、インフォシスが倍増の200億円、ウィプロが50%増の206億円、そしてタタが54%増の80億円という計画です。

高収益率を誇るインドIT企業、低収益率の日本IT企業

  前述の通り、インドの大手IT企業はエンドユーザーとの直接取引に重点を置いていますから、富士通や日立といった国内大手メーカーとの競争激化は避けられ ません。待ち受ける日本勢も、2007年から今年にかけてインドに直接乗り込んで、IT技術者を自社で確保する動きが目立っています。

 しかしながら、日本語が通じる中国オフショア開発ですら大成功したとはいえない日本の大手各社ですので、インド事業の拡大は決して楽な道ではありません。

  インドの大手IT企業は、日本の大手IT企業各社と比べて圧倒的に高い利益率を誇ります。売上高営業利益率で見ると、タタは26%、インフォシスは 33%、ウィプロも18%あります。そして、そのカネを従業員教育や研究開発に回していく、好循環になっています。対照的に日本の情報サービス企業では、 2006年度の中央値の会社で営業利益率3.87%と低く、この利益率の低さは日本企業全体に共通する問題点となっています。

かつての日本企業は、欧米に「追いつき、追い越せ」とばかりに、技術のキャッチアップに尽力しました。今度は日本のIT業界も、インド企業が主導する世界 的なオフショアリングの標準を見習い、追いつかなくてはいけません。いまのところ、残念ながら、日本のIT各社が世界市場で活躍する明るい見通しはありま せん。

 これが、世界のオフショアリング市場の現実です。


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