経済連携協定(EPA)に基づく外国人看護師の候補者が年内にも来日するのを控え、大病院の半数近くが外国人看護師を採用したいと考えていること が、九州大学アジア総合政策センター研究班の調査でわかった。看護師不足の解消につながるとの期待が大きいためだが、来日するのは国家試験の合格を目指す 研修生。即戦力ではない研修生の受け入れには6割が消極的で、「未知の制度」に対する現場の懸念がうかがえる。九州大教員を中心につくる同研究班が9日、福岡市であった国際研究会で報告した。
日本政府はインドネシア、フィリピンと看護師・介護福祉士を受け入れる合意をしており、インドネシアは年内にも候補者を送り出す。これをにらみ、調査は1月、300床以上の全国約1600病院を対象に質問表を送り、2月末までに522病院から回答を得た。
採用したいかどうかの問いには、21.5%が「日本人同様の基準で採用したい」、24.7%が「外国人枠を定めて採用したい」と答え、計46.2%を占めた。
希望する理由は「看護師不足を解消したい」が65%で最多。国際交流への協力、院内の人間関係の活性化、看護レベル向上が続く。
一方、「採用したくない」は20%、「よくわからない」は33%。理由は多い順に、サポートが大変、日本語能力が不安、患者や家族に受け入れられない、などだった。
来日した看護師の候補者は、日本語を6カ月間学んだ後、病院で働きながら研修する。3年以内に日本人が受けるのと同じ国家試験に合格すれば引き続き在留、就労できる仕組みだ。
この研修生の受け入れについては、38%が希望する一方、「あまり受け入れたくない」「全く受け入れたくない」が62%もあった。
調査にあたった川口貞親・産業医科大教授(精神看護学)は「まず研修生の受け入れから始まる制度なのに、研修生や研修内容・手続きについての情報が少なすぎて二の足を踏む例が多いのではないか。政府は早く制度の中身を詰め、積極的に情報を出すべきだ」と話している。
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