2008-01-07

グッドウィル企業買収でファンドに利益 「不可解」な差額380億円

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人材派遣大手グッドウィル・グループ(折口雅博会長、GWG)が2006年、ファンドを通じて同業のクリスタルを買収した際、投下資金は883億円なのにクリスタル創業者側が受け取った売却代金は500億円にすぎなかったことが4日、関係者の話で分かった。

 383億円もの差額は、結果的にファンドやファンドに出資したほかの投資家らの利益になったとみられる。ファンド側の手数料などを考慮しても差額が大きく、金融関係者も「不可解な取引」と指摘している。

 クリスタル子会社化をめぐっては、GWGの買収発表が遅れ、この間に同社の株価が上昇したことも問題化。東京証券取引所が事業改善報告書の提出を命じていた。

 GWGの説明によると、同社は100%出資の「人材サービスファンド」を通じ、「コリンシアン投資事業有限責任組合弐号」というファンドに、クリ スタル買収資金の883億円を拠出。外部の投資家も303億円をコリンシアンファンドに出資した。ファンドの資金は計1186億円で、GWGの出資割合は 約74%となった。

 一方、関係者によると、クリスタルの創業者と資産管理会社は、発行済み株式の約91%をコリンシアンファンドに売却したが、代金は500億円だったという。

 GWGはファンドへの出資割合に応じ、クリスタル株の67%を取得した。一連の取引は06年10月31日に行われ、GWGはクリスタルを子会社化。同年末、ファンドから脱退した。

 ファンドには1186億円から500億円を差し引いた686億円の現金と、クリスタル株の約24%が残った。その後の投資活動は不明だが、ファンドは07年7月に解散した。

 クリスタル買収について、GWGはファンド代表者から持ち掛けられたと説明。クリスタル側の売却価格が500億円だったことについては「ファンド からクリスタル株の67%を883億円で取得することになっており、それ以外の情報については知り得る立場にない」としている。

 ファンド運営会社代表は取材に応じていない。

 【グッドウィル・グループ】 東京証券取引所1部上場の人材派遣会社。2004年に訪問介護大手コムスンを完全子会社化し、06年にクリスタルを 買収、一時は人材派遣と訪問介護の最大手となった。しかし、コムスンでホームヘルパーの名義借りなどの不正が発覚。事業所指定打ち切りなどの処分を受け、 コムスンの事業をジャパンケアサービスなどに売却した。子会社のグッドウィルでも不正な労働者派遣が発覚し、厚生労働省は事業停止2-4カ月の処分を検討 している。

 【クリスタル】 1974年設立の人材派遣会社。2006年3月期の連結売上高は約5911億円で業界大手だった。違法な偽装請負を行ったとし て、グループ内の製造業請負コラボレートが、06年10月3日、大阪労働局から労働者派遣法に基づき事業停止命令を受けた。同月31日にグッドウィルが買 収し、07年5月、グッドウィル・プレミアと社名を変更した。


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