2008-11-20

銀行融資2兆9000億円減 「貸し渋り」倒産最多818件

:::引用:::
大 手銀行6グループの中小企業に対する9月末の融資残高は、3月末に比べて約2兆9000億円減少した。景気が低迷する中で、銀行が融資審査を通じて業績が 悪化した企業を見極めるなど、貸出先の選別を強めたことが背景にある。民間調査会社の東京商工リサーチがまとめた今年1~10月の企業倒産状況でも、「運 転資金の欠乏」が原因の倒産が前年同期比31.3%増の818件で、最近10年間で最多となった。同社は「融資などを得られず資金繰りに窮する中小企業の 厳しい現状を反映した」と分析している。

 大手銀行では、中央三井トラスト・ホールディングスを除く5グループが中小企業向け融資を縮小した。融資減少幅が最も大きかったのはみずほフィナンシャルグループの約1兆円。ただ、融資を受けられない企業などからは「貸し渋り」批判も強まっている。

 東京商工リサーチが調べた1~10月の倒産件数は計1万3007件で、ほとんどが中小企業だ。原因別では「販売不振」が前年同期比10.4%増の8471件で最も多いが、増加率は「運転資金の欠乏」が最も高かった。

 「運転資金の欠乏」による倒産件数を年ごとにみると、03年の435件を底に、5年連続で前年を上回った。今年は1~10月分だけで、過去10年間の年 間件数を超えている。毎月の推移では、07年は年間を通じて60件前後だったが、今年は増加傾向を強め、9、10月には90件台に達した。前年同月比の増 加率は5、6月が30%台、7月以降は40%超と勢いを増している。

 政府・与党は、銀行が融資姿勢を厳しくすれば資金繰りに行き詰まる中小企業が増えると警戒しており、10月には中川昭一財務・金融担当相が大手銀行や地方銀行など金融機関の代表者らを集め、貸し渋りや貸しはがしの改善を要請した。

 一方、金融機関側は「貸し渋りはしてはいないが、業績が悪化し、融資の審査をパスできない企業が増えている」(大手行幹部)との認識だ。銀行はバブル経 済時に不十分な審査で融資合戦を繰り広げた結果、不良債権が急増して苦境に陥った過去があり、審査のノウハウを向上させてきた。

 ただ、融資を受けられない企業では、「以前は貸してくれたのに、今回はなぜダメなのか」と不満が募り、貸し渋り批判に結びついている。不況が長期化すれば、さらに銀行批判が強まる可能性もある。

 政府は追加経済対策に、信用保証協会の保証枠を総額20兆円に拡大する対策も盛り込み、融資円滑化を後押ししている。同様の対策は98年の日本の金融危 機時にも実施されて一定の効果があったことから、東京商工リサーチは「今回も年末の資金需要期に間に合えば“干天の慈雨”になる」と期待している。
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