「子供たち」にまつわる「ドキュメンタリー」。2つの共通項をもつ映画2作品が11月22日、公開される。日本映画「中華学校の子どもたち」と米映画「未来を写した子どもたち」だ。同じ日の公開は偶然だが、テーマを意識して見比べるのも映画の楽しみ方のひとつだろう。
日本の中華学校で学ぶ子供たちの日常を追ったドキュメンタリー映画「中華学校の子どもたち」。本作で映画監督デビューを飾った片岡希(のぞみ)監督(31)が、横浜市の横浜山手中華学校小学部1年生の日常を記録した。
横浜に中華学校は2校ある。大陸系の横浜山手中華学校と、台湾系の横浜中華学院。中国・北京で留学経験のある片岡は、大陸系の学校を訪れた。「毛沢東の写真がなく、国旗も掲げていなかった。もっと共産教育が浸透していると思っていたので意外でした」
冒頭の獅子舞を学ぶ授業で、子供たちは獅子の口が開いただけで無邪気にはしゃぎまわる。在日2世、3世とすすむにつれて日本語を話す割合が増え、今の子たちは日中2カ国語を操りながら会話している。
中華街での課外授業で、生徒が「シューマイの作り方」とぶっきらぼうに尋ねる様子が生々しい。「大人がどう受け入れるかにも興味がありました。子供があいさつをしないでおかゆ屋に入ったとき、後で母親がきっちりしつけをする姿はいいですね」
中華学校を撮ろうと思ったきっかけは、留学先で抗日映画を見たとき。村人と八路軍が逆襲する内容に700人近い学生が立ち上がり、「殺してしまえ!」。
「一つの出来事に対して教育の違いがここまで形になって出てくるものなのか」と衝撃を受け、「自分が暮らした横浜の中華学校では、どう教えているんだろ う」と興味が広がった。3年間で撮ったのは60分テープ約320本分。同世代の教師も多く、「中国人でも日本人でもなく華僑なんだなという思いが、一緒に いるにつれて強くなった」という。
11月22日、横浜ニューテアトルで公開。東京は12月6日、銀座シネパトス。(文と写真:市川雄二/SANKEI EXPRESS)
■かたおか・のぞみ 1977年2月6日、岡山県生まれ。99~2001年、北京電影学院導演系(国立北京映画学院監督学部)でドキュメンタリー演出を学ぶ。帰国後、中村高寛(たかゆき)監督の「ヨコハマメリー」(05年)でプロデューサーを務める。
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■華僑 中国本土から海外に移住した中国人やその子孫で、中国籍を保持している。
■華人 移住先(日本)の国籍を取得した中国系の人。
■中華学校 孫文(1866~1925年)の提唱によって作られた華僑の子たちの教育機関で、全国に5校ある。現在、生徒は華僑、華人、日本人と幅広い●●コメント●●
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