2008-11-25

【キラリ!成長企業】ゼウス・エンタープライズ 派遣人材“生涯現役”モットーに

:::引用:::
 偽装請負や日雇い派遣などの不祥事によりイメージの悪化も招いた人材派遣サービス業界で、派遣スタッフが“生涯現役”でいることをモットーに掲げ、長く 安心して働き続けられる環境づくりに取り組む。そんな経営方針の背景には、吉房滋社長が起業前の約12年間に2つの会社で痛いほど味わった“経験”が生か されている。

 1992年、大学を卒業して入った中小の建材メーカーは、歴史も古く社員総出の数々の行事など一体感を重んじる家族的な雰囲気こそ良かったもの の、業績が正当に評価されない「古い組織の横並び主義」には悩まされた。入社早々、たった独り休日返上で新商品の販路開拓に奔走し、あっという間に年商は 12億円と全社の2割に達した。その後も“有言実行”でトップの営業成績を続けたが、上司は“生意気な奴”と異端児扱い。昔からの得意先に安住した営業方 針をめぐり社長とも対立し、8年間我慢した末に辞めた。

 そして2000年、自らの営業力を生かそうと新天地に選んだのは、急成長中の人材派遣会社だった。以前とは全く逆の徹底した業績主義でめきめき頭角を現し、転職後1年半で子会社の社長に登用され、その後2年間で社員が3倍の97人の規模にまで成長させた。

 ところが好事魔多し。急成長のひずみが出てグループの経営が行き詰まり始めると、高給取りで上層部にも直言する自身の“煙たい”存在が真っ先に リストラ対象となった。当時は「派遣会社は人材の“使い捨て”に陥っていないか」と自戒の念にもさいなまれ、「いいタイミングだ」とばかりに独立した。

 吉房社長はまず、正社員として雇用したスタッフのみを派遣する特定派遣に特化し、「能力本位で“好き嫌い”の人事はしない」「人をモノ扱いしな い」と心に誓った。派遣スタッフには仕事の過程やさまざまな貢献度も考慮した評価の基準を明確に示す。一人一人の個性に目を配り、会社からの期待感をちゃ んと伝え、やる気につなげる。本人や会社の問題点などを直接話し合う場も毎月設ける。「努力を怠らず“生涯現役”を貫く強い意思を持つ人材には、おのずと 終身雇用の道が開かれる」という。

 全員参加の季節ごとの社内イベントなども欠かさず、一体感と帰属意識を重視する。そんな社風が口コミで広まり、スタッフ採用に月平均300人近い応募者が引きも切らないという。

 システムエンジニアには“35歳定年説”もまかり通るが、現在は最高44歳のスタッフも第一線で活躍する。高度な管理能力などを生かしたミドル 層の活躍の場の確保も課題だ。吉房社長は「たとえば株式公開で得た資金で買収した企業に、有能な中高年層を重点配置したい」などと構想を明かす。(中山忠 夫)

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【プロフィル】吉房滋

 よしふさ・しげる 駒大文卒。社名は“世界のビジネスシーンで全知全能になろう”との意味を込め、ギリシア神話に登場する全知全能の最高神「ゼウス」にちなんだという。神奈川県出身。40歳。

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【会社概要】ゼウス・エンタープライズ

 ▽本社=東京都中央区八重洲1-5-15田中八重洲ビル4階

 ▽設立=2005年1月 ▽資本金=7562万円

 ▽従業員数=220人(うち派遣スタッフ約170人)

 ▽社長=吉房滋 ▽売上高=8億3000万円(08年10月期)

 ▽事業内容=IT分野に特化した特定人材派遣、ネットワークシステムの設計・構築など
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