外国人研修生らの受け入れ事業に絡んで虚偽の監査報告書を提出したとして、名古屋入国管理局が、厚生労働省の 所管する社団法人「国際労働運動研究協会」(東京都)を、3年間の受け入れ停止処分にしたことが分かった。労働行政を担う厚労省の足元での不祥事は批判を 浴びそうだ。
外国人研修制度では、企業は協会のような公的な団体(一次機関)を通じて外国人を受け入れるなどする。協会などは傘下の企業で適切な研修がなされているか指導や監督といった「監理」をする。
協会によると、入管の指摘を受けたのは愛知県内の企業を監査した際の報告書。この企業は他の企業に合併されて法人格を失っていたが、それに気づかないまま、監査したとして昨年6月に報告書を入管側に提出した。これが虚偽とされ、今年3月に処分を受けた。
また、各地の企業や個人と契約を結んで協会の定款にない「支部」としていたことも今月、厚生労働省の立ち入り検査で確認された。全国に9つ設け、協会が一次機関として行うべき傘下企業の監理の一部を肩代わりさせていた。
厚労省労政担当参事官室は「支部に社団法人の名称を使わせていれば法に抵触する恐れがあり、事実関係を確認中。必要なら改善を指導したい」とする。入管の処分については「遺憾ながら今月まで気付かなかった」としている。
厚労省や協会によると、協会は1971年設立で、昨年度までの4年間で中国やインドネシア、フィリピンなどから約900人を受け入れた。外国人ら は製造業を中心に中部地方をはじめ全国の約80社で働くなどしていた。処分時にいた約600人は大半が他の受け入れ機関に移籍のめどが立ったという。
■国際労働運動研究協会の話 監査した企業に従来どおり作業場があったため、合併に気付かなかった。支部は地元で企業や研修生らのきめ細かいケアをするために設けていたが、監査などは本部が実施しており、丸投げや名義貸しではない。
■外国人研修制度 途上国の人材育成に貢献するのが目的。研修生は、企業で生産に従事する実務研修などで学ぶ。要件を満たせば技能実習生に移行 して雇用される。法務省によると、昨年中に来日した研修生は計約10万4000人。国際労働運動研究協会は、国内外の労働運動に関する調査研究などを目的 に設立された公益法人。近年は研修生事業が中心になっていた。
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