2008-11-26

夢と仕事の両立を支援

:::引用:::
 ■音楽、演劇…断念させない

 ◆働き方いろいろ

 学生時代に音楽、スポーツ、演劇活動に没頭していたが、いざ就職となると「夢」をあきらめてしまう若者は数知れない。

 好きな道で食べられる人はごくわずかだが、卒業後も働きながら活動を続ける人のために、パソナグループは週4日間だけ午後5時まで働くなどの働き方を提 案。空き時間を「夢」の実現のために使うことができる派遣システム-。それが、2005年3月から立ち上がった「スポーツメイト」と06年10月から導入 された「ミュージックメイト」。音楽活動やスポーツと仕事の両立を目指して派遣として働く新しい働き方を提案しており、今年8月からはミュージックメイト に演劇部門を新設した。

 山本絹子取締役専務執行役員は、「今までは活動を継続するにはキャリアにつながらないアルバイトをするしか方法がなかった。派遣で事務職で働い てキャリアを積みながら音楽や演劇など好きな活動もできるので、転身にも有利になる」と、一連の人材派遣システムのねらいを明かす。

 こうした人材が思わぬ能力を発揮するケースもある。ミュージックメイト演劇部門に登録した人材で、「演劇は共同作業なので組織をまとめる能力がある。コールセンターのオペレーターを取りまとめる仕事で活躍してもらっている」(山本取締役)という例がある。

 スポーツメイトは約400人、ミュージックメイトは約600人まで登録人数が増えた。ミュージックメイトでは、パソナグループが実施するイベン トなどで演奏してもらって演奏料を支払うなどの支援も惜しまない。その道で食べていくことをあきらめて転身するときの就職支援も行うため、安心しながら好 きな道で精いっぱい頑張ることができる。このシステムで働きながらCDを発売したジャズ演奏家も存在。まだ、著名な音楽家、演劇人、アスリートを輩出する までには至っていないが、将来的には、こうした分野で活躍する人材が続出する可能性を秘めている。

 ◆フリーターに「大学校」も

 取り立てて「夢」をもっていたわけではないが、たまたま卒業した時期が「就職氷河期」に当たってしまって、不本意ながらフリーターになった人も少なくない。こうした人材に向けた研修事業にも力を入れている。05年11月に開校した「仕事大学校」だ。

 具体的には基礎研修2カ月に加えて、派遣システムを活用して企業で1年間の実地研修を行う。これまで約180人がこの制度を利用した。利用者は 男性が8割近くを占め、年齢は25~29歳が5割強と過半数を占める。30歳以上も2割近くに達する。また、アルバイト・パートの経験しかない人も6割近 くを占めている。卒業生の約7割が派遣や正社員としてさまざまな企業で勤務している。

 山本取締役によると、「単純労働のアルバイトを何年やっても企業は経験と見なさないため、ますます就職しにくくなる」という。仕事大学校であい さつの仕方など、コミュニケーションスキルからパソコンの基礎技能などを身につけて、派遣システムで実際に企業で働いてもらうことで、“未経験”をクリア できることになる。1クラスは約20人構成。それぞれにビジネスコーチがついて就職相談などカウンセリングも実施する。通常コースで授業料は9万4500 円を要するが、1年間の派遣研修でもらえる給与から支払っていく仕組みも用意した。

 フリーターだけでなく、アルバイトをしながら司法試験など国家資格を目指していたが、志半ばで就職を目指すことになった人材の利用もあるという。(財川典男)

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 【メモ】

 親の介護が必要な世代や子供のいる母親らの働き方として、時間的制約が小さい派遣という働き方は適している。日雇い派遣が社会問題化したことに より、不安定な雇用で賃金も低いとみられがちだが、南部靖之パソナグループ社長は、「パソナは正社員でまかなえない高度技能人材を派遣しているので賃金も 高い」と自負している。能力向上を図る研修にも力を入れている。「不況の今こそ、会社に頼らずに人生を自分で築く、独立した働き方が必要」というのが南部 社長の持論だ。
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