2008-11-17

ベトナムとインドが 「メイド・イン・チャイナ」を侵食

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グローバルソース主催の「ギフト用品・生活雑貨商談会」が10月20日から23日まで香港のアジア国際博覧館(Asia World-Expo)で開催された。ブラジルからのバイヤー、マグイラ氏は広大な会場を一巡したあと、「昨年、ここで行われた商談会に比べて、中国製品 の価格は上がっている。広州にも行き、広州交易会で適当なサプライヤーを探すつもりだ」と語った。

 一方、インドやベトナムから出展した100を超えるサプライヤーのブースには、多くのバイヤーが問い合わせや注文に訪れていた。かばんを専門に扱 うインドの商人アビシェク・グプタ氏は、ブラジルから来たバイヤーとの商談で仮発注までこぎつけた。グプタ氏のかばんが、中国のサプライヤーのよりも価格 面で明らかに優位だったからだ。

 インド、ベトナムなどから出展したサプライヤーのブースには、キッチン用品や玩具などの製品が並べられている。もともと「メイド・イン・チャイナ」の得意分野であったこれらの製品で、中国は今、インド、ベトナム、フィリピン、タイなどの新興市場からの挑戦を受けている。

 グローバルソース社の企業事務総経理の蘇慧ブン(※ブンは、雨かんむりの下に文)氏は次のように語った。「一週間前に終了した当社主催の『電子製 品・部品商談会』でも、労働集約型でプロダクトチェーンのローエンドにある『メイド・イン・チャイナ』は、欧米の金融危機の影響で、注文の減少や失注が見 られた。同時に新興の供給市場にもシェアを奪われており、中国に本格的な冬の時代が到来していることを示している。しかし、物流や販売ルート、商慣習など の理由から、調査対象者の69%は2009年も半分以上のギフト用品・生活雑貨を中国から調達すると回答している」

 商談会の期間中にグローバルソース社はバイヤーの調査レポートを公表した。それによると、製品の販売価格の上昇と消費者の消費意欲減退の二つが、 今後12カ月間でバイヤーが直面する最大の問題である。これらの難題に対応するために、バイヤーは現在のサプライヤーネットワークを整理統合し、新興の供 給市場を探し、より競争力のある価格の製品を調達する意向だ。

当面の目標は「生き残り」

 グローバルソース社によると、今回の商談会に出展した3200のブースのうち74%は中国本土の企業だが、インドやベトナムからの出展企業も増えており、台湾、韓国、タイ、フィリピン、オーストラリアからのサプライヤーもいるという。

 サプライヤー出展者数は前年の36%増だが、会場を訪れるバイヤーの数は主催者の「中位予測」にしか達していない、とグローバルソース社の展示責任者は語る。

 出展者の一人、浙江黄岩嘉和礼品有限公司の邵利洪氏は「今日訪れたバイヤーは例年に比べてかなり少ない」と悲観的だ。邵氏によると、金融危機の影 響が拡大したことで、中国本土企業の多くが本格的な冬の時代の訪れを意識しているという。これまでは人民元レートや加工貿易政策の調整、原材料コスト・人 件費の上昇などの問題について憂慮していたが、今では国外のニーズや受注量の減少といった直接的な問題について心配し始めているのだ。

 アモイ市にある高級陶瓷器輸出企業の米国担当販売責任者によると、ある米国企業へ5月にコンテナ10個分の商品を発送したところ、貨物が米国へ着 いたときには相手が倒産していたという。「この取り引きでは信用に基づいて着払いの方法をとっていたため、当社は60万米ドルを失ってしまった。これは半 年分の利益に相当する額だ」

 多くの出展企業は、当面の最大の目標は生き残りだと考えている。今は管理能力や効率をアップさせることで会社の運営能力を向上させたいとし、ハイエンド製品の開発や構造転換はまだ未来図にすぎない。広東省の貿易関係者は、現在、中国の実体経済への金融危機の影響は始まったばかりだとみている。第4四半期のデータにも表れるが、本格的な影響が出るのは来年になるだろうという。

市場分散によるリスクの低減

 グローバルソース社の調査によると、回答者の71%は、今後1年の間に中国以外の供給市場を開拓することが重要だと考えている。開拓したい市場と して最も人気があるのはベトナム(回答者の60%)とインド(同53%)だ。インドは「メイド・イン・チャイナ」のシェアを侵食すると同時に、バイヤー側 にも加わっている。税関のデータによると、過去9カ月の中印貿易は著しく増えており、この期間中の貿易総額は54.9%増の420億5000万米ドル。増 加率は貿易相手国上位10のトップだ。

 「中国の輸出は今、過去20余年で最も厳しい。欧米からのバイヤーは明らかに減った。しかし、他の市場の成長も目覚ましい」。グローバルソース社 のエグゼクティブ・ディレクターであるサラ・ベネッケ氏によると、今年の旧正月期間中に行われた電子関連の商談会に比べ、ブラジルからのバイヤーは1.5 倍に増えており、ロシア、インド、中東諸国からのバイヤーも増えているという。

 グローバルソース社の裴克為COOは、中国の輸出企業は新しい市場を開拓し、投資を分散することでリスクを低減しなければならないと指摘。「考え 方の一つとしては、金融危機の影響が最も大きい欧米市場への輸出比率をできる限り減らし、中東、ロシア、ブラジル、インドなど、より多様な輸出市場を開拓 することが挙げられる」

 欧米からの受注が減ると同時に、発注するバイヤー側の要求もかなり高くなっている。

 邵氏のブースでは、米国から来たスミス夫妻がハロウィン用のぬいぐるみについて修正部分の説明をしていた。聞いていると、一輪の花のデザインから 木の色の濃さに至るまで、事細かな要求が出されていた。邵氏は「買手が減ったので、顧客のニーズを満たすために常に製品の品質やデザインを改善していかな ければならない」と言う。

 グローバルソース社の調査によると、バイヤーの90%以上が、経済の低迷期を乗り切るには、中国のサプライヤーが製品の品質を改善し、さらに魅力 的な価格を提供する必要があると考えている。製品デザインの刷新、製品種類の増加、顧客サービスの改善なども、「メイド・イン・チャイナ」の今後の主要課 題に挙げられる。

(鍾良、聶坤=21世紀経済報道、香港、深セン発)


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