【天津=春日芳晃】大阪府の橋下徹知事が中国シフトを強めている。就任10カ月で訪中は3度。知事になるまで海外はグアムだけという自称「非国際 派」だったが、中国の勢いを目の当たりにして自治体外交に目覚めたようだ。近く、中国をはじめとした「アジア重視」を盛り込んだ独自の外交指針を発表す る。
「大阪府は中国との関係を最重要視している。私が知事に就任して以来、より一層重視している」。橋下知事は20日、北京市内のホテルに現地の政府関係者や旅行会社の担当者ら約200人を招き、大阪の観光と産業の売り込みに熱弁を振るった。
これまでの訪問先は3月に上海、10月に上海と南京、今回は北京と天津だ。3度の出張費用やイベント代などの経費は合計1060万円。就任1年目 の知事の外遊は、太田房江前知事がシドニー五輪視察、横山ノック元知事は上海市との友好記念式典への出席だけで、橋下知事のハイペースぶりが際立つ。
訪中のたびに橋下知事の中国評価も良くなるようだ。
10月の上海訪問では「中国は本当にすごい。じきに大阪は見向きもされなくなる」と強調。今月11日の近畿ブロック知事会議では「上海を見ると、 日本の都道府県レベルでやってることはせこすぎる」と道州制導入を主張。滋賀県の嘉田由紀子知事から「橋下さんの焦りはわかりますが」と言われる一幕も あった。
橋下知事が注目しているのが水質浄化技術などの環境ビジネスの分野だ。府によると、中国の06年の環境ビジネスは、売上高6千億元(1元は約14 円)の巨大市場。15年まで毎年10%以上の成長が見込まれている。5月に来日した胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席に会った際も「大阪・関西は環境ビジ ネスが得意。ぜひ緊密な関係を」と強調した。 中国人観光客のさらなる誘致も狙う。日本への団体旅行が00年から順次解禁され、大阪への観光客は01年度の11万6千人から06年度の35万8千人と、3倍以上の伸びだ。
橋下知事が近く発表する「自治体外交指針」では、中国への輸出額や航空便の多さで関東より関西が優位と強調し、「関西の強みと特徴を打ち出すには中国との関係が重要」(橋下知事)との姿勢を鮮明にする。
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