商事会社の総務課を舞台に日本人と、業務を請け負う中国人が“お仕事バトル”を繰り広げる日本テレビの連続ドラマ「OLにっぽん」(水曜午後10 時)。ドラマの総務課では日々、日中摩擦が生じているが、撮影現場は? 日本語と中国語が飛び交う、日テレ生田スタジオを取材すると、ドラマを支える裏方 の存在が見えてきた。
(高橋知子)
「本番行きます」。「実拍(シーパイ)」。「もう一回行きます」。「再来一遍(ツァイライイービェン)」
日本人スタッフの掛け声を追って、中国人コーディネーター・湯(タン)亦晨(トーマス)さんの声がスタジオに響いた。
撮影が行われていたのは、社員の暴力事件で総務課が対応に追われた五話目。総務課ミーティングルームに集まった観月ありさ、浅野ゆう子、東幹久ら主要キャストに対し、事件は嘘(うそ)だと中国人ホステスが真相を告白する場面だ。
このシーンには、中国人研修生・琳役のタン・ジャースーと、洋役のローラ・チャンが出演。中国語講座に出演し日本語が堪能なローラに対し、時折不 安げな表情を見せるタン。台詞(せりふ)と感情表現が一致しているか、自分と前後の役者の台詞の意味を湯さんに中国語で確認する。
「怒らないでください。ら、ら、ら」と、撮影の合間に「ら」の言い回しを練習するタン。隣で同僚役の美波が「ら、ら」と手本を見せる。一方、ロー ラは得意の日本語で時折、上司役のモロ師岡とヒソヒソ話をしては大笑い。ドラマでは犬猿の仲という設定だが、実際は仲の良い父と娘のようだ。
タンは大学在学中にこのドラマのオーディションに合格し、卒業後の八月に来日。短期賃貸マンションに一人住まいして、日本語学校に通い日本語を習得した。「すべてが楽しい。共演の方々からいろいろ学びたい」と、役柄そのままの素朴さで話す。
マネジャーのいないタンをサポートするのが湯さん。日中のドラマや映画に通訳などで参加。多くの俳優を支えてきた。仕事では「ホームシックになら ないよう、撮影以外のところに一番気を使う」とか。前の役者の台詞を受け、良い反応をしたときには「良い演技」と、励ますことも忘れない。
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湯さんのように、ドラマを裏で支える中国人はほかにもいる。中国のビジネス現場を約一年取材した西憲彦プロデューサーが「人脈開拓のきっかけをくれた」と感謝する、CSの中国語チャンネル「CCTV大富」の張麗玲社長だ。
日本でドキュメンタリー制作も手掛ける張社長は、日本と中国の懸け橋になりたいとさまざまなドラマや映画に協力。今回も中国のオーディションやロケの手配に尽力した。
琳が故郷の期待を背負って日本で見せる懸命な働きぶりなどは、張社長が制作した中国人留学生ドキュメンタリー番組がヒントになっているという。
西プロデューサーは「日本人が、外国人と一緒に働くことにどう向き合っていくのか。拒否するのではなく、きちんと向き合うことで何か見えてくるんじゃないかと、そこを描きたいと思った。本気で働くことってステキだなと思えるドラマになれば」と話している。
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