:::引用:::
・プロジェクト名:新疆ウイグル自治区伊寧市環境総合整備事業
・2004年度承諾 プロジェクト総額:110億7900万円、うち円借款利用限度額:64億6200万円
中国最西部に位置する新疆ウイグル自治区はインド、パキスタン、アフガニスタンなど8カ国と国境を接しており、中国で一番大きな面積(165万平方キロメートル、日本の約4.5倍)を有する。
同自治区イリ・カザフ州の州都、伊寧市(別名:グルジャ市、人口約50万人)。カザフスタン国境から約90キロメートルに位置する同市の住民の半分以上はウイグル族、カザフ族、キルギス族、回族などの少数民族が占める。また、ラベンダーの中国唯一の産地であり、中国で産出されるラベンダーのほぼ全量を生産、フランス、ロシア、日本の北海道とあわせてラベンダーの世界4大産地と呼ばれている。
今回は、シルクロード天山北路の要地、中国の最西端に位置する伊寧市(グルジャ市)で実施されているODA環境プロジェクトを紹介したい。
<新疆を流れる国際河川・イリ河の水質悪化>
天山山脈の雪解け水は大河となって流れ出し、伊寧市を通り、カザフスタンのバルハシ湖へと注ぐ。全長1400キロメートルのこの河川は中国で唯一東から西へ流れる河川だそうだ。
プロジェクトが計画された2003年、国際河川であるイリ河には、下水処理設備が完備されていない伊寧市内から未処理の汚水が流入し、目標とされている国家水質II類基準(飲用水の水源)に遥かに及ばないV類基準(農業用水には利用可能な程度)程度まで悪化していた。
また、生活廃棄物は浸出水防止対策が取られず直接埋め立てが行われており、土壌・地下水への影響が懸念されていた。
<伊寧市で初めてとなる外国政府借款プロジェクト>
このような状況を踏まえ、中国政府は伊寧市の環境対策の実施を目的に、日本のODAの一つである円借款を活用し、2004年から環境プロジェクトを実施することとした。
このプロジェクトは、上・下水道施設の改修、廃棄物処理場の新設、砂漠化防止のための植林など、複数のプロジェクトを組み合せた総合的な環境対策プロジェクトとなっている。伊寧市で初めてのODAプロジェクトということもあり、現地の伊寧日報、イリ経済ネット、新疆環境新聞等、多数のメディアでプロジェクト実施が報道されており、注目の高さを伺わせる。
<晴れた日は土、雨の日は泥>
2008年7月、現地メディアにODAプロジェクトの紹介記事が掲載された。
…… 伊寧市の各民族・住民が最も注目する日本の円借款プロジェクトが開始されて2年、伊寧市は天地が逆転(翻天覆地)するほどの大きな変化が見られ住民は感嘆している。この街に50年住む海氏は、「以前は雨が降ったら一面がぬかるみとなり外出できながったが、今ではそのようなことは無くなった」と語った……
毎年6月には辺り一面が薄紫色のラベンダーで覆われる伊寧市(グルジャ市)。
中国最西端のこの街では日本のODAプロジェクトが活躍している。ラベンダーの美しさと共に、伊寧市で芽生える日本の協力の息吹が多くの人々に伝わることを願っている。
写真は、伊寧市のラベンダー。写真2番目は、伊寧市の市内。写真3番目は、伊寧市内の道路のぬかるみ(手前)。4番目は、日本の浄水場施設を視察する伊寧市市長(執筆者:竹内和夫・国際協力機構(JICA)中国事務所 駐在員)
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2009-04-08
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