2009-04-30

「少子化対策」

:::引用:::
 田辺市が4月から、妊婦が出産までに受ける妊婦健康診査の公費負担を2回から14回に増やした。妊娠から出産までの健診には保険が適用されず、通常7万円もかかるので、その費用を軽減して出産しやすい環境を整えようという施策である。

  ▼画期的な試みといえる。だが、せっかくの試みも、いまのところ国の財政措置が約束されている2年間だけの施策という。心もとない話である。あえて期間を限定する必要はない。雇用政策も含めて、国を挙げて出産環境を整備する必要がある。そこまでしなければ、少子化を食い止めることはできないだろう。

  ▼合計特殊出生率は、日本ではまだ底を打ったという実感がないけれども、欧米の先進国では2000年前後から上昇に転じている。先日読んだ『フィンランド豊かさのメソッド』(集英社新書)によれば、フィンランドでは子どもが生まれると、国費でベビー服をはじめ育児用品セットと、生後11カ月まで所得の 66%の育児手当が支給される。

 ▼父親も出産時に18日間の産休がとれ、自宅保育家庭には月300ユーロの手当が支給されるそうだ。この制度が導入されて合計特殊出生率は1・8にまで回復しているという。

 ▼フィンランドは税金の高い国ではあるが、その税金がこのように目に見える形で国民に還元されているので、不満の声は聞こえないという。こういう形こそ、日本の目指すべき福祉国家の姿ではないだろうか。(翠)
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