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◇収入減、不況追い打ち
IT(情報技術)業界での「偽装請負」を防止するために厚生労働省東京労働局が作成した文書が基で「自営業者による請負は違法」との誤解が広がり、個人で適法に仕事を請け負っていたIT技術者が仕事を奪われている。雇用が不安定な派遣への契約変更を余儀なくされ、収入が減るケースも出ている。東京労働局は文書を撤回したものの、誤解は解消されていないと言い業界関係者が困惑している。
自営のIT技術者を支援する株式会社「首都圏コンピュータ技術者」(東京都港区、真杉幸市社長)によると、全国には推定約5万人の自営技術者がいる。主に企業のシステム開発や保守業務を請け負い、能力に応じて高い収入も見込める。
東京労働局は04年10月「個人事業主による請負の中には違法なケース(偽装請負)があり、適正な請負の要件を満たす必要がある」と記載した業界向けの文書を作成。4年以上にわたって配布を続け、ホームページでも掲載していた。
これを受け、自営技術者への発注を見送る企業が続出、業界有数の大手企業も「自営業者には発注しない」と表明した。首都圏社は「業界の3分の1で同様の誤解が広がっている」と推測する。仕事を続けるために、派遣に契約を変えることを強いられ、収入が減る技術者も増加。文書を巡る誤解が、不況による発注減に追い打ちをかける形になった。
約5年、同じ企業から継続してウェブサイト構築の仕事を請け負ってきたIT技術者の男性(37)は昨秋、自営のままでは仕事を続けられないと伝えられた。発注元から自分の能力を評価されていたと思っていただけに驚いたという。男性は慌てて派遣に契約を変更、現在はとりあえず従来の収入を確保して仕事を続けているが「安く仕事を引き受ける派遣社員に仕事を奪われるかもしれない」との不安が消えない。
多くの技術者が苦境に立たされる中、東京労働局は09年1月、文書配布をやめ、ホームページからも削除した。浅野浩美・需給調整事業部長は「文書の解釈が独り歩きしているので、口頭説明に切り替えた。適正な自営業者との請負契約ならば全く問題はない」と説明している。【森禎行】
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■ことば
◇請負と自営業者
企業と人材会社が請負契約を結んだ場合、人材会社は自社で雇った労働者を使って仕事を進める。発注元が人材会社の請負労働者に指示を出すことは禁じられているが、製造業の現場では発注元が指示を出す「偽装請負」が横行した。労働者ではない自営業者(個人事業主)の場合、自身の判断で請負契約を結び、発注元と協議しながら仕事を進めることは禁じられていない。
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2009-04-27
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