2009-04-20

途上国植林:温暖化防止と貧困解消両立 ベトナムなどで、JICAが支援

:::引用:::
途上国の荒れ地に植林し、温暖化対策と住民の生活向上の両立を目指す温室効果ガス削減事業が、近く国連の気候変動枠組み条約事務局に認められる見通しになった。日本の国際協力機構(JICA)が支援しており、将来的には排出量取引の対象になる。同じ狙いの植林はすでにインドで認められており、貧困解消とガス削減という一石二鳥の方法として広がりそうだ。

 京都議定書では、先進国の削減手法として「クリーン開発メカニズム(CDM)」が認められている。途上国で削減事業を実施した場合、削減分を先進国の排出削減分とみなす仕組みで、植林や工場の省エネ、再生可能エネルギーの導入などがある。植林は技術的に難しいうえ資金も集まりにくく、登録は3件にとどまっている。

 JICAはベトナム北西部カオフォン県での植林事業を支援している。周辺に住む農民1人あたりの年間平均所得は約400ドル。植林や林の手入れで働く場をつくり住民の収入を増やすほか、樹木が吸収した分の排出枠や木材の売り上げを住民に分配する。計画では、約320世帯が参加し、荒れ地約310ヘクタールに約50万本のアカシアを植えて16年間で4万3000トン(二酸化炭素=CO2=換算)の排出削減を図る。排出枠の売却益は最低でも18万ドル(約1800万円)が見込まれるという。

 JICAは、CDMに精通する人材を現地で育成するほか、国連の審査手続きを支援。さらに、ホンダベトナムが技術支援にかかる初期費用の2500万円を拠出することで課題を解決した。貧困地域で生活向上も目指す植林の国連承認は、インドに続く2例目になる見通しという。同様の計画は、日本の国際農林水産業研究センターやリコーも進めている。

 JICA地球環境部の西井洋介さんは「日本の支援で困難な課題を解決できた意味は大きい。今後のモデルケースにしたい」と話している。【江口一】
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