2009-04-13

仕事減を逆手に「社内教室」 浜松の人材派遣会社

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浜松市内の人材派遣会社が、日系ブラジル人ら外国人社員を対象に日本語の「社内教室」を始めた。「日本語に堪能になれば、製造業だけでなく、サービスや介護などさまざまな分野に進出する足がかりになるはず」と会社側。社員たちも、不況で仕事が減って空き時間ができている中だけに「良い機会」と大歓迎だ。給料減に耐え、雌伏の時を学びに生かして、将来のチャンスをつかめるか-。

 「ヨロシクオネガイシマス」。発音はぎこちないものの、大きく元気な声が事務フロアに響く。ここは浜松市中区の「伸栄総合サービス」の自社ビル1階。正社員も含めた約30人が、週2回、日本語の手作りプリントを手に、日本語の勉強に励んでいる。

 内容は「自己紹介の仕方」や「日本語表示マークの読み方」などさまざま。指導には浜松国際交流協会(HICE)の日本語ボランティアら職員数人があたっている。

 「病院での受診」を取り上げた際には、元小児科医師の山本和子さん=中区=も招き、「どこが痛いか」「症状は」といった会話を日本語でこなすための基本を繰り返した。

 同社は自動車、オートバイ部品製造など主に製造業関係の会社に労働者を派遣してきた。日系ブラジル人が占める割合は実に9割に上る。

 だが、不況の影響は色濃く、約1200人いた派遣社員が現在は3分の1の400人に減少している。仕事量も昨年比で6割以上、落ち込んでいる。

 そこで加藤和代社長(52)が思いついたのが、ピンチをチャンスに変える秘策。「不況はいつまでも続くわけではない。良い人材にさらに磨きをかけよう」と考えた。男性担当者も「日本語が話せるようになってコミュニケーション能力を向上させれば、派遣できる分野は広がるはず」と力を込める。

 受講生の1人で3年前に来日したウエタナバロ・マリナさん(24)=北区=は「これから日本で暮らしていくには日本語が必要。こういう取り組みは本当にありがたい」と笑顔をみせた。マリナさんは、週に3日ほどしか働けないが「時間はその分あるので、しっかり日本語を勉強したい」と意欲的だ。

 教室は当面、計10回で終える予定だが、同社は「受講を希望する社員がいれば、今後も続けるか検討したい」と前向きだ。

 受講すればすぐに日本語に堪能になれるわけではない。新たな職種を発掘できるとも限らない。介護職を筆頭に確実な意思疎通が求められ、かなりの“修業”が必要な分野は多い。

 それでも、加藤社長は「教室がきっかけとなって、日本語を学ぶ楽しさや必要性を感じてもらい、勉強する意欲を刺激できれば」と期待していた。

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