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急激な雇用情勢の悪化が、人材派遣や転職情報といった人材ビジネスに影を落としている。職を求める人が増える一方で、求人が大幅に減っているためだ。失業者の増加が心配される中、企業に人を送り出す側も厳しい経営を迫られている。
「派遣の仕事を探している登録者は前年の2倍ぐらいに増えたが、求人はない。自分の会社の経営も傾きかけている」。東京都内の大手人材派遣会社の男性社員はため息をつく。昨秋以降、製造業の軽作業の求人が特に減っているという。
派遣契約を中途解除されても、自社と派遣社員との雇用契約は続くため、残りの期間中は派遣先が払うはずだった給料の6割を社員に支払っている。派遣先に負担してもらいたいのが本音だが、大事な顧客である派遣先には頼みにくい。
男性社員は「派遣先の業種はトラック運転手や電話応対、展示会スタッフから引っ越しまで多岐にわたる。派遣業界が衰退すれば、成り立たなくなる業種も出てくるのでは」と心配する。
製造業を対象とする派遣や請負会社の業界団体「日本生産技能労務協会」と「日本製造アウトソーシング協会」によると、不況前は製造業の派遣・請負全体で約100万人が雇用されていた。しかし08年度末には4割にあたる40万人が失業すると両協会は試算する。
影響は製造業派遣だけにとどまらない。約810社が加入する「日本人材派遣協会」(千代田区)は、営業や経理などの事務系派遣業の08年度の売り上げが前年度に比べ大手では2割、中堅では1割減ったとみる。
求人の折り込みチラシや求人情報誌を手がける業者の団体「全国求人情報協会」(千代田区)によると、加盟約80社が掲載した1月の求人広告総数は約48万件で前年同月に比べて40%も減り、89年に統計を取り始めてから「例がない事態」に直面しているという。
広告が減る一方で、広告を見て問い合わせる人は増えており、協会には「問い合わせをしたのに返事が来ない」という苦情や「採用時に事実上の年齢制限を設けている」という不満の声も寄せられている。【工藤哲】
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2009-04-06
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