韓国の小学校の児童数は今年、昨年より15万人減の367万人となった。1970年の574万人に比べ64%にすぎない。入学者数は2000年の 66万9600人から今年は54万800人に減り、2年以内に50万人を割り込む見通しという。出生減が進んでいるためだ。80年に年間87万人に達して いた新生児数は05年には44万人にまで減少した。
少子化は必然的に高齢化につながる。65歳以上の高齢者が人口に占める 比率は05年の9.1%から20年には15.6%、30年には24.3%に増える。05年時点で生産可能人口(15‐64歳)の3453万人が高齢者 438万人を養っているが、30年には3130万人で高齢者1181万人を養わなければならない計算となる。
韓国経済はこうした高齢化のヤマを無事に越えることができるのか。国民年金、健康保険、基礎老齢年金、長期療養保健など高齢者関連の支出規模は 07年時点で国内総生産(GDP)の3.7%だったが、10年後の18年には13.4%に増大する。生産人口は減り、老人扶養負担が増え、政府の財政収支 は悪化。貯蓄は減少、投資は減退し、生産性は落ちるほかない。現在5%前後の潜在成長率も20年には3%、30年には2%に落ち込む見通しという。昨年 やっと一人当たりGDPが2万ドル(約220万円)を超えた韓国経済は少子高齢化というトンネルに既に突入したようだ。経済エンジンに過負荷がかかりはじ めた英国の経済専門ジャーナリスト、ビル・エモット氏は89年に『日はまた昇る』と題する本を著した。その中で「日本経済は高齢化で成長力を失い低迷に 陥る」と予測した。日本経済が過去最高の好況に沸き、栄光の絶頂にある時期にそんな不吉な予言をしたのだ。日本の経済学者は話にもならないとさまざまな統 計を挙げて反論した。しかし、日本経済は彼が予言した通り、90年代に入り長期不況に陥った。80年代末に日本経済は米国を追い越す勢いで突っ走った。現 在の韓国経済は風説レベルの通貨危機説にも全身が揺らぐような経済だ。韓国はいつ訪れるか分からない統一という不確定要素も考慮しなければな らない。専門家は統一に伴う費用を少なくとも数百兆ウォン(数十兆円)、最大で2000兆ウォン(約188兆円)と試算している。経済規模を拡大できる間 に最大限拡大しておかなければ、韓国経済は高齢化負担で頭打ちになり、統一費用という泥沼に足を取られかねない。
働く人が減り、扶養されるべき高齢者が増える社会がその負担に耐えるためには、国民一人一人をどの国と競争しても負けない人材に育て上げるしかな い。スイスの国際経営開発研究所(IMD)がまとめた今年の世界競争力報告書によると、韓国の教育競争力は55カ国中35位だった。大学を卒業した人材の 数は世界4位だというが、教育が社会の要求する人材を輩出することには失敗しているとの判定だ。こんな教育では国も国民も安心して暮らすことができない日 がやがてやってくる。
韓国と韓国経済が確実に到来する高齢化圧力に押されず、統一という大きな不確定要素にも決して沈まないための生き残りの道は1日も早く教育の大手術を行う道以外にない。
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