製造業で派遣労働者を3年の期限を超えて働かせる違法行為を規制するため、厚生労働省は26日にも全国の労働局に一斉通達を出す方針を固めた。派遣終了後にいったん契約社員などにしてから、再び派遣として雇う違法行為が09年に相次ぐ恐れがあるため、指導を強化する。
大手製造業の工場では、06年に違法な「偽装請負」が社会問題化した結果、請負から派遣への切り替えが進んだ。その派遣労働者らが来年一斉に雇用期限を迎えるため、「09年問題」として企業は対応を迫られている。
通達では、派遣を3年間受け入れたあとは、正社員や期間工などの直接雇用にするか、請負契約に切り替えるように要請する。
特に、派遣会社が主導して、同一の派遣労働者を一時的な直接雇用を経て再び派遣に戻した場合は、職業安定法で禁止されている「労働者供給」にあたる可能性が高い、と初めて明記する。
また、請負に切り替えてもメーカー側が仕事の指示を直接、請負労働者に出すと偽装請負になるため、あらためて注意を促す。
労働者派遣法では、派遣が正社員を代替しないよう、一部の業務を除いて同じ仕事に派遣を3年以上使うことを禁じている。厚労省は指針で「派遣終了後、新たな派遣を受け入れるまでの期間が3カ月以内の場合、継続的な派遣とみなす」と定めている。
派遣会社のなかには、この指針を逆手に取り、派遣期間の終了後、派遣先にいったん直接雇用させて、3カ月を超えた後に再び派遣に戻すことで、法の網を逃れようとする動きがある。同省はこうした行為を取り締まる方針だ。
09年問題をめぐっては、キヤノンが子会社を含めて07年末に約1万2千人いた工場の派遣社員を、年内に半数ずつ期間工と請負に置き換える方針。コマツは08年3月に750人いた工場で働く派遣労働者全員を09年3月までに期間工に切り替える予定だ。
派遣や請負に詳しい阿部正浩・独協大教授は「派遣は一時的な業務に限るのが原則。3年を超えるような業務は本来は内部労働者で行うべきで、低コストの派遣に安易に頼ってきたことが09年問題を生んだ一因。企業は外部人材を活用する業務の範囲を見直すことが必要だ」と話す。(生田大介)●●コメント●●
0 件のコメント:
コメントを投稿