◇厚労省研究所が推計
75歳以上の後期高齢者の1人暮らし世帯が今後、首都圏4都県で激増する。厚生労働省の国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、全国平均の増加幅は2025年で00年に比べ約3・03倍だが、首都圏では埼玉5・61倍、千葉4・78倍、神奈川3・68倍、東京3・20倍--といずれも上回る。4分の1の市町村で5倍以上に増え、8倍以上も5市町を数える。
高齢化は量とスピードの両面で問題になる。高齢化が進めば、医療や介護にかかる負担が大きくなるが、勢いが強い場合、そのスピードに行政が対応できない可能性もある。高齢化問題は今後、都市部でこそ深刻化すると言えそうだ。
この推計は4都県の全268市区町村(01年12月現在)が対象で、00年国勢調査を基に世帯主が65歳以上の「高齢世帯」や、75歳以上の「後期高齢世帯」の推移を追った。昨秋まとめたが、発表は内部機関誌への掲載にとどめていた。
75歳以上の1人暮らし世帯の伸びは、首都圏の自治体レベルでは5倍台が29、6倍台が22、7倍以上が16。個別の市区町村ごとの伸び率は基本的に公表していないが、8倍以上の3市は明らかにしており(2町は非公表)、千葉県浦安市8・50倍(519→4413世帯)、埼玉県鶴ケ島市8・41倍(269→2264世帯)、同県三郷市8・01倍(486→3895世帯)。
また、71年に入居が始まった「多摩ニュータウン」を抱える東京都多摩市は5・65倍(982→5553世帯)と推測している。
推計にあたった西岡八郎・人口構造研究部長によると、首都圏の高齢化が激しい要因の一つが、2025年に78~76歳になる団塊の世代(47~49年生まれ)の存在。この世代を中心に多くの地方出身者が首都圏に移り住み、核家族を構成し、子供の独立後に夫婦のどちらかが死亡して1人暮らしになるケースが少なくないという。
西岡氏は「孤独死の防止など、75歳以上をどう支えるかが重要な政策課題になる。各自治体は医療福祉計画などを25年時点を見越して周到に作るべきだ」と指摘する。【遠藤和行】
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■75歳以上の1人暮らし世帯の推計■
(カッコ内は世帯総数に占める割合・%)
00年 25年
全国 139万(3.0) 422万(8.5)
東京都 17.6万(3.3) 56.3万(9.3)
神奈川県 7.2万(2.2) 26.5万(7.2)
千葉県 4.1万(1.9) 19.8万(8.2)
埼玉県 4.0万(1.6) 22.2万(7.7)
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