農家の労力不足が深刻になっている。JAが中心になって、支援の仕組み(システム)作りが必要だ。収穫など農作業労力の補完から、税務の手助けなどの専門分野まで、支援の必要性は幅広い。こうした仕組み作りが担い手作りにつながり、地域農業振興に役立つ。
農作業の機械化は進んでいるが、果樹や野菜の収穫作業のように機械化が難しい作業や、共同で機械を使って収穫物の選別や荷造りできない作物も多い。従来は 季節的な労働者を受け入れたり、近所にパートを求めたりしてしのいできたが、そうした従来の手法ではしのげなくなりつつある。経営を続けるためにも、規模 拡大するならなおさら、労力の確保が必要にある。
農業者の高齢化が進み、近い将来昭和一けた世代が引退すれば、労働力が大幅に少なくなる。農業後継者の確保だけでなく、農業経営を補完する労力の確保も重要だ。
農業分野だけから確保するのではなく、職業に就かない若者(ニート)や定年者の活用も考えなければならない。今年の農業白書によれば、労働力人口は、 1998年に6793万人だったが、人口減少社会に入り、2007年は6669万人で、30年には6180万人になる試算があるという。つまり、他産業と 労働力の奪い合いが起きつつあるということであり、確保のため、速やかな取り組みが求められている。
全国各地に、労力確保のさまざまな 先進事例がある。JA全農ちばは、県の委託で農業労働力補完システム確立モデル事業を県下のJAで行っている。農家などの求人情報とパート希望者の情報を 収集し、JAが仲立ちをする事業だ。神奈川県のJA相模原市は市と共同で「援農システム」を運営している。団塊の世代を中心に研修生を募集し、援農にも出 向く。
こうした取り組みがきっかけになって、援農ボランティアや研修生が特定非営利活動法人(NPO法人)を組織したり、農業者としてIターンしたりする例が出ている。
支援する作業は、収穫、定植、受粉、剪定(せんてい)などさまざまだが、農作業だけでなく、労力支援の必要な分野はもっと広がる。農家との取引データを活 用したJAによる青色申告支援もその一つだ。申告の事務労力を支援するだけでなく、宮崎県では、行政とJAグループ宮崎が連携し、加えて経営改善策を示し 大きな成果を挙げている。補助事業の申請事務の支援や、新しい技術の開発を支援しているJAもあった。
競争力がある経営を実現するためには、経営者は経営の勉強や情報収集に時間をより多く割く必要がある。そうなると労力支援システムは、作業を外部委託することから費用はかかるが、単に不足する労力を補うだけでなく、経営の近代化のために欠かせない仕組みになる。
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