◇欧州から「オタク文化」目当て、中国からは高額ショッピング
日本を訪れる外国人観光客が増えている。京都や別府など伝統的観光地に加え、アニメやコミックといった「オタク文化」を目的としたツアーがはや り、100万円単位の買い物をするアジアの富裕層が増えるなど様変わり。ユーロ高・円安の影響で欧州からの旅行者も多いという。【中川紗矢子、石田宗久】
メイド喫茶のウエートレスがチラシを配る東京・秋葉原の繁華街に、外国人が多く訪れる人気スポット「アソビットキャラシティ」がある。ビルに足を踏み入れると、1~5階すべてが、コミックやアニメグッズ、フィギュア(人形)など1万超のアイテムで埋め尽くされている。
同店によると、客の3割は外国人で、ユーロ高・円安の影響もあり、欧米人が多い。インターネットで情報収集して買いに来るらしく、目的意識が高いのが特徴で、4万~5万円分を購入していく人もいる。
JTBグローバルマーケティング&トラベルは今年3~4月の6日間、アニメ好きを対象にしたツアーを企画。米、ギリシャ、仏、スペイン、メキシコから20~40代の計36人が参加した。
JTB広報室によると、20~40代の外国人はアニメ文化などで日本を知る人が増え、コスプレ衣装やメイド喫茶といった秋葉原文化が人気を集めている。
一方で目立つのは、消費力のあるアジア富裕層だ。人気の買い物スポットになっている銀座には、アジア系外国人観光客が目立ち、三越広報によると、 中国のキャッシュカード「銀聯(ぎんれん)カード」の07年度の銀座店での売上額は、前年度比約10倍。旅行者は中国の景気が良くなった06~07年ごろ から増えてきた。
福岡市にも中国発着のクルーズ船が今年は春から秋にかけて約20回寄港する。中国人観光客のお目当ては天神での買い物だ。
女性に人気なのは「資生堂」などメード・イン・ジャパンの化粧品。家電量販店では品質の高いデジタルカメラなどが好まれている。市内の百貨店や商業施設「キャナルシティ博多」も、銀聯カードの決済サービスを導入した。
博多-韓国・釜山を結ぶ高速船「ビートル」を利用して日本を訪れる韓国人も多い。07年度の利用客は過去最高の60万人で、うち韓国人は前年度比2割増の35万人。温泉やゴルフ場が多い九州への旅行がブームになっているという。
日本政府観光局によると、訪日外国人観光客は、03年に政府が「ビジット・ジャパン・キャンペーン」を始めてからの5年間で計300万人増加し、07年は835万人。今年6月までの上半期で、前年同期比10%増の433万7000人が来日した。
松本大学の佐藤博康教授(観光ホスピタリティー)は「外国からの高評価で日本の若者のサブカルチャーが見直されている。観光客の増加は、外貨獲得のお得な形でもある」と歓迎する。
●●コメント●●
0 件のコメント:
コメントを投稿