2009-04-09

ヘッドハンターには会うべし。しかし注意点も忘れずに

:::引用:::
ビジネスパーソンの読者なら、会社かあるいは自宅でヘッドハンターからの電話を受けたことがあるかもしれない。電話のパターンはさまざまで、単に社名と名前だけを言うこともあるし、「いわゆるヘッドハンター(のような仕事をしている者)です」と説明することもある。「ある会社がカクカクのポジションの人材を探しているのだが、ご興味はありませんか」と用件から入ることもあるだろう。こうした電話に対しては、どう対応したらいいのだろうか。

 自分の仕事にもよるが、よほど会いたくない理由があるのでなければ、会ってみる方がよいことが多いと筆者は思う。「今は、転職に興味がないから会わない」と切り捨てるばかりでは、少々もったいない。恐らくは、自分の仕事に近い仕事ないし業界が関係しているのだろうから、業界の事情や他社の動向が分かるかもしれないし、何よりも第三者から見た自分の人材価値を知る手掛かりになる可能性がある。会ってみたが時間のムダだった、ということもあり得るが、心掛け次第では有意義な(かなり効率の良い)情報収集になる。
ヘッドハンターとの接し方・付き合い方

 ただし、相手が何者でどのような案件と意図を持っているのか、ということが分かるまで、自分の履歴書は渡さない方がいい。

 履歴書を渡すと、会社名や個人名を隠した書類に打ち直してある場合が多いが、あちこちの会社に自分のデータがばらまかれる可能性がある。筆者も、外資系の証券会社に勤めていたときに、別の外資の友人から「山崎さんの履歴書らしいものが出回っていますよ。山崎さんの場合、転職回数が多いから、すぐ分かりますね。注意した方がいいですよ」と教えてもらったことがある。

 また、ごくまれな例だが、会社や上司がヘッドハンターを使って部下の考えていることを調査する場合がある。最近では、部下を転職するようにし向ける手段として人材紹介会社が使われることもある。

 初めて会ったヘッドハンターに対しては、「自分のチャンスには関心があるが、現在、ただちに会社を辞めたいと思っているわけではない」というくらいの建前を胸に入れて話をするといいだろう。特に、現在の会社の詳しい内情や、職場に対する不満は話題にしない方がいい(自分がどんな仕事をしていて、何ができるというくらいのことは話しても構わない)。相手の会社の様子、さらに先方の用件(より正確には、先方が持っている「案件」)を知ってから、徐々に自分の情報を渡すべきだ。

 また履歴書を渡す際には、これを第三者に渡す場合には必ず事前に承諾を取るように要求しておきたい。自分で直接コンタクトできる相手先にはヘッドハンターを介在させない方がスムーズな場合が多いし(もちろん採用時に相手の会社が払う手数料も軽減される)、自分の履歴書が出回ると不都合な会社がある場合も考えなければならない。この点の要求に対して明確な約束をしない業者は使わない方がいい。
基本はギブ・アンド・テイク

 一般論として、ヘッドハンターを使うことの長所は、お金の交渉がやりやすいことと断るときが楽なことだろう。短所は、情報伝達が不正確になる場合が多いことと、採用する側で手数料が掛かることだ。 ヘッドハンターには、企業から依頼を受けた段階である程度の前金を手数料として取るタイプの会社と、人材を紹介して採用が決まってからはじめて手数料を取るタイプの会社の大きく分けて2種類がある。大手の会社で高額案件を手掛ける会社は前者のタイプに多く、独立系の小さな会社で少額の案件も扱うことが多いのは後者だ。

 ヘッドハンターの手数料は、新しい年収(給料分だけの場合もあるし、ボーナスを含む年収の場合もある)の高くて35%、安くて25%くらいで、前金を取っている業者は、後から差額を精算する(前金を返す精算は行われない場合が多い)。通常は、採用する側の会社がヘッドハンターに手数料を払う。

 大手でも分野(業界・職種)ごとに得手不得手があるが、特に小さな会社の場合、経営者(1人の会社も多い)の得意な業界・職種を確認してから付き合いたい。「得意」に関しては、求人側に深く食い込んでいて「案件」をたくさん持っていることと、その業務の詳細が良く分かることの2つの要素があるが、両者が重なることが多い。

 現在の自分の職種(あるいは興味のある職種)に詳しい独立系のヘッドハンターは、人材情報ばかりでなくビジネス上有益な情報をもたらすことが多いし、良い理解者・相談者になってくれることがあるので、気の合う人物で案件情報を多く持っているヘッドハンターがいたら、個人的に付き合ってみてもいいだろう。

 ヘッドハンターとの付き合いの基本はギブ・アンド・テイクだ。自分が彼らの「商品」になってあげると最も喜ばれるが、そのために転職するわけにもいかない。1つには自分が知っている人材を彼らに紹介すること、もう1つには自分の仕事に関連する業界事情や新しい技術・知識などを伝えることが、こちら側からの「ギブ」になるだろう。あちら側からは、人材市場の様子、自分の商品価値、などのほかに、人材の動きから見た他社の動きに関する情報が伝わってくることが多い。
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