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雇用情勢の悪化を受け、山梨県内で外国人の失業が深刻化する中、日系ブラジル人らを対象にした日本語教室の受講者が増えている。日本語ができなくても職に就けた状況が一変、外国人の求人が激減したことで「日本語をマスターしないと再就職できない」という危機感が背景にあるとみられる。来日18年目で初めて勉強する人がいるなど、生徒数が倍増した教室もある。一方、ブラジル人のボランティアによる教室では通訳が帰国するなど、人手不足から運営に影響が出ている。
「私は、イチゴが好きです」「漢字を書くと、きたないです」。甲府市の県ボランティア・NPOセンターで週2回、市民団体「ハート51」が開いている日本語教室。日系ブラジル人やペルー人が、代表の加藤順彦さん(63)から日本語を教わっている。「生徒の多くが失業者で、再就職したくて初めて勉強する人がほとんど」と話す加藤さん。今年1月から2時間1000円の受講料を無料にしたところ、生徒は2倍の約60人になった。
日本語教室に通う外国人は各地で増加。南アルプス市の教室は1-3月の登録者が26人で、前年同期の2倍。1カ月の参加者が延べ30人に満たなかった富士吉田市の教室は、今年3月の1カ月間で延べ112人が利用した。
これまでは、日本語ができなくても仕事があった。3月から教室に通う日系ブラジル三世のヤビク・マウリシオさん(52)=南アルプス市=もその一人で、電子部品の工場を解雇された。来日して18年たつが、日本語は理解できない。「派遣会社から『仕事はない』と言われた。日本語が分からないと働けないので…」。ポルトガル語でこう語った。
ハローワークプラザ甲府は、日系人の来所が目立つ。毎月平均20件だった外国人の新規求職の受け付けは今年1月、43件に倍増、相談件数も4倍以上になった。日本人の就職もままならない不況下、萩原正人所長は「日常会話ができなければ、就職は難しいのではないか」と話している。
一方、県内でブラジル人が最も多い中央市の国際交流協会は、市民講師を養成した上で教室を開くことを計画。日系ブラジル人や日本人計11人が登録、今月19日から本格的に開講する予定だった。
ところが、日系人の新屋敷・ウェリントン・修さんは、日本語が話せるため会社から解雇されなかったが、人員削減に伴って仕事が増え、教室で指導できなくなった。日本人講師の通訳だった多根・エメルソンさんは仕事が少なくなり帰国した。同協会は「講師の登録者が少なくなれば、教室の運営が大変になってしまう」と不安を募らせている。
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