:::引用:::
日本で介護福祉士と看護師になることを目指し、昨夏にインドネシアから来日した二百人余が、日本語の研修を終え、国内の福祉施設や病院で働き始めた。
介護・医療の現場で研修を重ね、資格取得の国家試験に挑む。これまでの研修で、日本語の読解力が合否を分ける高い障壁になることがあらためて分かった。
言葉の問題が外国人に不利益をもたらさないよう、厚生労働省は対策を検討してもらいたい。
二百人は日本とインドネシアの経済連携協定(EPA)に基づいて来日した。介護・看護の分野で日本が初めて本格的に受け入れる外国人労働者だ。
同じくEPAで、今年もインドネシアから最大で七百九十二人が、フィリピンからは今年と来年で合わせて最大千人がやって来る。
在留期間は介護福祉士候補者が四年、看護師候補者は三年だ。この間に国家試験に合格すれば、無期限で働き続けることができるが、不合格だと帰国を余儀なくされる。
特に介護福祉士の受験には、三年間の実務経験が必要なため、受験のチャンスは一回しかない。
大半が来日後に初めて日本語を本格的に勉強し始めた人たちだ。試験には、日常生活ではあまり使われない専門用語が登場する。わずか三、四年の滞在で難解な漢字を理解するのは容易ではないだろう。
二月には、外国人支援団体が、試験に出る言葉を分かりやすくしたり、漢字にふりがなを付けるなどの配慮を厚労省に要請した。
厚労省はこうした声に真剣に耳を傾けてほしい。在留期間を延長できるよう、EPAの枠組み変更も視野に入れるべきではないか。
試験に備えた教育が、病院や施設任せなのも疑問だ。国として責任を持って研修プログラムなどをつくるのが筋だ。
国内の介護・看護の現場では人手不足が著しい。しかし、厚労省はEPAによる来日を、人材交流が目的であり、人手不足の解消が狙いではない、としている。
国内には資格を持っていても、過酷な勤務や低い賃金を敬遠して、働いていない潜在的な介護福祉士や看護師が数多くいるのは事実だ。こうした人たちの就労を促進する待遇改善策はもちろん必要だ。
だが、少子高齢化が急速に進む日本ではいずれ、介護や看護の現場で外国人の力が大きな助けになる時が訪れよう。研修に励んでいる二百人をその第一陣と位置づけたい。
長い目で見て、日本の介護や看護の担い手をどう育てるか。真剣に考えねばならない時に来ている。
●●コメント●●
0 件のコメント:
コメントを投稿