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北京(ウォール・ストリート・ジャーナル)米グーグル(Nasdaq:GOOG)は30日、中国における無料楽曲配信サービスを正式に開始した。同社と提携する音楽各社にとって、海賊行為の横行に悩まされている市場での音楽の提供を通じて利益を生み出すための待望の取り組みとなった。
7カ月の試験期間を経て、同日正式に始動したこの新サービスは、中国のユーザーは無料で利用できるものの、同国外では機能しない。新事業は、著作権者の許可を得た楽曲をダウンロードあるいはストリーミング(逐次再生)する際にユーザーが利用するサイトの広告で収入を得る。米ワーナー・ミュージック・グループ(NYSE:WMG)、仏ビベンディ(12777.FR)傘下のユニバーサル・ミュージック・グループ、英EMIグループ(EMI.LN)、ソニー(NYSE:SNE)傘下のソニーBMGミュージックエンタテインメントの世界4大音楽会社を含む140社超のレーベルが同サービスに音楽を提供する。
グーグルと提携各社は、このサービスが中国の検索エンジン最大手、百度(Baidu.com)(Nasdaq:BIDU)などを中心とするグーグルのライバルからユーザーを奪うことに期待している。百度の収入ベースの中国検索広告市場におけるシェアは圧倒的。同社とその他の中国語検索サイトは、無認可の曲をウェブ上で探し、ダウンロードするのに特化した検索ページによって多大なトラフィックを生み出している。
ワーナー・ミュージックのアジア太平洋部門社長、レイチー・ラザフォード氏は、グーグルのこの新サービスについて、「その重要性を強調しすぎることはできない」と語った。ワーナー・ミュージックはこのサービスに関する契約に基づき、世界の全コンテンツを中国でも利用できるようにする。同氏は「中国オンライン市場はこれまで音楽会社によってまったく収益化されていなかった」とコメントした。
ラザフォード氏は、ワーナー・ミュージックがそのほかの市場での楽曲配信でもグーグルのものと同じ無料の広告支援型モデルを利用することにオープンだと語った。ただグーグルは、現時点で同サービスを中国以外で展開する計画はないとしている。
グーグル大中華圏部門の李開復社長は30日、グーグルの中国サービスにとって、楽曲ダウンロードは「欠けていた主要要素」であり、中国人ユーザーが他の検索エンジンを好む「最も一般的な理由」は楽曲検索がないことだった、と記者団に語った。
グーグルは、出資する中国語楽曲配信サイト「TOP100.cn(巨鯨音楽網)」との提携を通じて同サービスを提供する。幹部らは出資比率を明らかにしなかった。楽曲をダウンロードやストリーミングをする際にユーザーが閲覧するサイトに掲載するバナー広告による収入のほぼ半分が音楽会社のものとなり、TOP100.cnは残りを受け取る。グーグルには中国語サイトのトラフィック増という効果がもたらされる見込みで、その代名詞とも言える検索広告を検索サイトで販売し、収益をあげる見通しだ。
TOP100.cnの陳戈最高経営責任者(CEO)は、新サービスで現在利用できるのは35万曲だが、数カ月後には100万曲を超える、と述べた。グーグルの李氏は、同サービスのテスト期間終了時にはユーザーによるダウンロードとストリーミングの回数が1日で150万回前後になった、と語った。最終的にはこの数字が「何倍にもなる」ことを期待しているという。
調査会社アナリシス・インターナショナルによると、昨年の中国検索エンジン市場におけるグーグルのシェアは28%と、07年の23%から拡大した。一方、百度もシェアを07年の59%から62%に伸ばし、圧倒的首位の座を堅持した。
百度は30日付の公告で、同社は「中国のデジタル音楽市場をさらに発展させる方法を絶えず模索している。ユーザーとコンテンツ製作者に最高のサービスを提供するため、当社のモデルを引き続き進化させていく」とした。
ユニバーサル・ミュージック・グループの東南アジア担当上級副社長、サンディー・モンテイロ氏は、グーグルの新サービスによって中国で人気があるのはどのアーティストや音楽かを、音楽会社は追跡調査できるようになると指摘した。これまではデータに信頼性がなく、把握は困難だった。
ワーナー・ミュージックのラザフォード氏は、グーグルのこの中国サービスは特定の層を正確にターゲットにした広告を打つ方法を広告主に提供する、と語った。同国では国営放送がテレビを独占しているほか、広告市場が地域ごとに異なることから、多くの広告主にとってそうした作業は難しくなっていた。
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