パナソニック株式会社は19日、同社エナジー社・住之江工場の起工式を、大阪市住之江区の同工場建設予定地で行なった。
午前10時から始まった地鎮祭、直会(なおらい)では、パナソニック・福島伸一専務、エナジー社の野口直人社長をはじめとする同社関係者のほか、大阪府知事の橋下徹氏、大阪市市長の平松邦夫氏が出席した。エナジー社の野口社長は、「住之江は、エナジー社の開発生産拠点である守口と、リチウムイオン電池の生産拠点である和歌山と連携しやすい位置関係に ある。経済効率性からも優れた立地にある。グローバルに需要が拡大していくリチウムイオン電池の源泉工程から、組立工程、出荷に至るまでの一貫生産体制を とる主力工場となる。ユビキタス社会が到来し、モバイル機器の電源としての需要、環境に配慮した商品として、大きな市場が見込まれるリチウムイオン電池 は、さらなる高容量化と安全性が求められており、当社には、これらを両立する技術があると自負している。課題はその生産能力の不足であり、新工場の建設に よって、生産能力を大きく拡大し、顧客の期待に応えたい。新工場は、安全、安心とともに、エコ工場をコンセプトとし、CO2削減にも取り組む」などとし た。
パナソニックエナジー社 住之江工場は、関西電力が所有する大阪発電所跡地に建設されるリチウム二次電池の生産工場で、2009年1月30日から着工、10月から源泉生産を開始。 2010年4月には第1期電池セル生産を開始し、2011年には第2期電池セル生産が開始される。
敷地面積148,000平方m、延床面積は159,000平方mで、第1期では、A棟からE棟までを建設。月産2,500万個、年産3億個の体制 とする。また、第2期ではF棟からH棟を建設し、第1期と同等規模の生産を行なう。第1期と第2期をあわせたフル稼働時点では、月産5,000万個、年産 6億個の体制となる。
住之江工場の設計者は双星設計、施工者は大林組となっている。
来賓として登壇した大阪府知事の橋下徹氏は挨拶の冒頭、「産業振興が、からっきし評価されていない大阪府知事の橋下です」と挨拶して来場者の笑い をとったあと、「大阪府民から、産業振興の策が見えないと言われていることは承知している。そうした中での新工場の建設。パナソニックエネジー社のみなさ ん、本当にありがとうございます。この不景気のなか、こんな明るい話があるでしょうか」と切り出した。
「これから新エネルギーが特需になることは明らか。世界中で、新エネルギーに注目が集まる中、この流れをいち早く掴めるかどうかが鍵となる。その ためには、ビジネスの世界で、他人よりも一歩抜きんでることが必要。大阪では、パナソニック、三洋電機の合併もある。シャープの太陽電池への取り組みもあ る。大阪が、新エネルギーにおいては、世界の供給源になるのは間違いない。ここに行政が力を入れなくては存在価値がない。大阪府と大阪市が一緒になって、 新エネルギーに全勢力を注ぎ、世界に向けて『新エネルギーは大阪』ということを発信していきたい。必ずや、新エネルギーで世界をリードしていきたい。大阪 府には中小企業のモノづくりの技術が蓄積している。今後は、産業構造の転換をしていかなくてはならないが、この新エネルギーにも中小企業の技術力を集約で きるよう、行政としては最大のエネルギーを注いでいきたい。パナソニックにも中小企業の技術力をできる限り汲み取ってもらいたい。大阪のベイエリアは、パ ネルベイともいわれたが、今後は、新エネルギー地区としても、ベイエリアが活気づくことは間違いない。感謝、感謝、感激である」とした。
また、大阪市の平松邦夫市長は、「知事とともにありがとうと申し上げたい。祝辞を用意してきたが、知事の挨拶を聞いて、読んでいる場合じゃないと 思い、読まずに申し上げたい」と切り出し、会場を和ませた後、「この土地は、産業集積促進地域という指定をしている。土地を所有する関西電力と、大阪府、 大阪市の3者が、なんとか先端工場を誘致したいと、長年に渡って縁談を探していた。新工場は、これからの地球をどう導くのか、どう貢献できるのかを、世界 中に向けて発信していくための先端工場と位置づけていいだろう。新たな技術のもとで、住之江から世界に向けて発信してもらえるという意味では震える気持ち でいる。世界同時不況、垂直落下といわれる中で、『ほんまにやるんですか』と言われるが、知事とも、『いまだからやるんだ』という意見で一致している。新 工場によって、大阪が持つ技術力の宣伝になるだけでなく、環境先進都市『水都・大阪』を世界に大きく打ち出す契機になる。雇用不安のなかで、新たな産業に 向けて大きな出発点を港から築いてもらったことは、うれしく思う。『ほんまに元気な大阪』をつくるには、ここの成功にかかっている」とした。
一方、設計、管理を担当する双星設計の陸田信彦社長は、「パナソニックエナジー社の幹部が検討に検討を重ねた大切な工場である。設計にあたって は、環境を第一に配慮し、安心、安全のエコ工場をコンセプトとしている。いよいよ工事がスタートするが、施主、設計者、施工者が三位一体となって、無事 故、無災害でやり遂げる決意である」とし、施工者である大林組・長恵祥副社長は、「大林組は、エナジー社の守口工場、和歌山工場を建設した経緯もあり、今 回も意義あるプロジェクトに参加させてもらい、身が引き締まる思い。この新工場は環境に配慮されたエコ工場であること、安全、安心である工場を目指してい る。完成した暁には、世界でも有数の電池工場になることを確信している。エナジー社からは、一刻も早くフル生産を行ないたいという希望があり、当社が持て る技術を生かし、工程管理、品質管理、安全管理に邁進する」と挨拶した。
乾杯の音頭をとったパナソニックの福島伸一専務は、「1918年に松下幸之助が大阪の大開町で事業をスタートし、昨年(2008年)で創業90周 年を迎えた。10月にはパナソニックに社名変更し、ブランドもパナソニックに統一した。そのタイミングで、創業の地である大阪に、新しい工場を建設できる ことはうれしいことであり、意義深いものがある。エナジー事業は、パナソニックのこれからの成長を担う戦略事業である。この工場で生産するリチウムイオン 電池は、世界的にも需要の拡大が見込め、エナジー事業の中核的商品である。この工場をスムーズに立ち上げ、さらにグローバルに発展させていきたい」とし た。●●コメント●●
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