2009-01-24

語学ボランティア拡充を 災害時の外国人を手助け

:::引用:::
年々増加する国内在住の外国人。母国で大きな自然災害に遭った経験のない人が被災した場合、どんな手助けができるのか-。東京都の「外国人のための地震防災訓練」に語学ボランティアとして参加した記者が、災害時外国人支援のあり方を考えた。 (安食美智子)

 「家が壊れてしまって…。どこに泊まれますか」。訓練会場となった東京体育館(渋谷区)の一室で、記者は外国語支援者として被災者役の韓国人から 電話を受けた。都心で震度6弱の地震が発生してから三日後の想定。最初に住所を聞き出し「近くの○○小学校が避難所。食料や飲料、毛布などがあり無料で生 活できます」と伝える。しかし相手は小学校への行き方すら分からないと返答。「区役所に電話して」「紙に漢字かアルファベットで書いて周囲に教えてもらっ て」…。苦し紛れに思い付くまま言葉を並べるしかなかった。

 昨年十月一日現在、約四十万五千人の外国人が住む東京都。災害時に外国人を支援する防災(語学)ボランティアは十七言語で六百二十一人(うち外国 人九十八人、今月二十一日現在)が登録されている。阪神大震災の教訓を踏まえ、都が一九九六年に同制度を発足させた。原則十八歳以上七十歳未満で都内に在 勤・在住・在学し、語学検定合格者など一定の水準を持つ人が自主的に都都民生活部に登録し、日ごろから数々の訓練や研修を行っている。

 大規模災害が起こると、同部の「外国人災害時情報センター」が「広域ボランティア活動拠点」(都内十三カ所)を開設。語学ボランティアは自発的に同拠点に集まり、依頼があった区市町村の外国人相談窓口に派遣され、避難所や病院などで外国人への情報提供や翻訳などを行う。

 都が作成した語学ボランティアのマニュアルは、避難所・医療救護所への誘導や災害情報の広報など、基本的に日本人対象と同じだが、外国人向けに一時帰国手続きやビザ切れ、パスポート・外国人登録証明書の紛失などへの対応にも備えている。

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 今回の訓練には日本語学校の生徒や大使館関係者など百四十一人の外国人と語学ボランティア四十三人らが参加。外国人に話を聞くと「震度って何」な ど、都の想定よりもはるかに基本的な知識を求めていた。訓練会場でも都が重点を置いた救護体験より、起震車や煙ハウスのような災害そのものを体験するコー ナーが人気。参加した韓国人女性は「北朝鮮からの攻撃への対応訓練はやったけど、自然災害の訓練は初めて」。韓国など地震がほとんどない国の人々は、軽度 の地震にも強い恐怖を感じてしまうようだ。

 地震に“免疫”のない外国人でも被災時に冷静に対応できるよう、現在年一回の訓練回数を増やし、支援者側と外国人が素朴な疑問をぶつけあう場も設けるべきだ。マニュアルにはない、不安を癒やす心遣いの用語を充実させることも必要と感じた。

 訓練を重ねる語学ボランティアだが、災害時、実際に拠点に集まらなければ意味がない。都都民生活部の滝島浩子副参事(市民活動担当)は「登録者の うち最低半数程度が集まってくれることを希望しているが、被災して来られない人も多数出てくる。一定数を確保するために、少数言語も含め、多くの人に登録 してもらいたい」と訴える。


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